第28話

オートマタはダンジョンと自身を繋ぐスポットを撃ち抜かれると数度の痙攣後に停止した。

家電に例えるなら、オートマタが本体、パスがケーブル、ダンジョンが電力源、スポットがコンセントになる。


「簡単だろ?」

「流石は御主人様です。」


ダンジョンコアへの道が開き、直ぐにダンジョンを掌握した。

これで俺が魔力を供給しないとオートマタが動き出すことはない。


「前のボスは、オークキング?っていうのか。」


早速、オークキングを生成する。

命令として俺達以外の排除にしてオートマタを持ち上げる。


「こいつを屋敷で詳しく調べる。」


そうして、ダンジョンを出た俺達に影がかかった。

その影は徐々に濃くなっていく。


「そうか、こいつが。」

「鷲神、様?」


成人男性よりも背が高い鷲が祠の前に降り立った。


「人間よ、よくぞこの地に蔓延った災いを倒した。その功績により我が空を侵犯した罪を許そう。」


偉そうで我儘な奴だ。


鷲神はこちらの事を無視して話を続けた。

ここは元々、鷲神とその子孫が住んでいた土地であり、トゥレを開拓した人間との契約で共存していた。

それがオートマタの出現で人間は去り、こうして荒れ果ててしまった。

その責任は全て人間とオートマタにあり、契約の不履行を告げる。

しかし、供物を用意するなら再びこの地に住むことを許そう。

さしあたって、オートマタを差し出すが良い。

話の内容的にはこんなところだろう。


「うるさい。」

「であるからにして………何?」

「自分の土地を守らない賢獣風情が。まずはその口を閉じろ。」

「人間風情が、我に対してそのような言葉を吐くとは…天に吐く唾がどうなるか知らないらしいなぁっ!!」


威嚇のつもりなのか翼を拡げた。


二式二番【波紋】


鳥とはいえ脳はある。

その大きさに関わらず、脳を揺らされることは体のもつ機能を十全に発揮できなくなるのは生物として共通事項だ。


「この傷、さてはお前こいつに痛手をくわされていたか。」


体が動かなくても心が動揺した。

物証として翼に不自然な傷が散見できる。

この世界にこれ程の対空装備はそうそうないだろう。

おそらく、侵入者として襲い掛かったオートマタに手酷く追い返されてプライドを激しく傷付けられた。

そして、自分を傷付けた相手が倒されて、その相手は生身の人間、高圧的にでれば自尊心を少しは癒せると考えた。


…そんなところか。


賢獣を放置して屋敷に入った。


「上位個体を確認、御客様と推定。」

「「「御客様、いらっしゃいませ。」」」


このオートマタに近い見た目のゴーレムに出迎えられた。

どうやら、オートマタの主人が戻ってきた時のために人が住めるように準備をしていた。


「エイダはエルと一緒に領主の部屋を探して賢獣に関する書類を探してくれ。」


話をしていると激しい羽音を起てて賢獣が飛び立っていった。


「良いのですか?」

「ほっとけ。攻撃してくるならそれなりの対応をするだけだ。」

「はい。」


部屋には俺とオートマタだけになる。


「さて、拝見させてもらおうか。」


皮膚は人工皮膚だが、切れ目がなければわかりはしない程の美しさだ。

その繋ぎ目も全くわからないように出来ている。


「こいつを作ったのは間違いなく天才だ。」


生前の知識があっても使われている技術は殆ど理解できなかった。

幸い、調べたことに対しては知識の書から回答を得られるので調査の手を止める必要はない。

2時間程弄り回してわかったのは、壊れている箇所が動力部で少なからずこの世界で作られたものではないということがわかった。


この機体はかなり高性能なものだ。

それを動かすためにはそれ相応のエネルギーが必要になる。

その為に、この作成者は体内にエーテル生成器を作り、疑似体液と混合することで全身に巡らせる手法を取っている。

疑似体液は血液で言う血液の役割を果たし、空気中から得た魔力を酸素のように運搬することで基本機能を確保し、空気中の魔力を圧縮液状化することで発生するエーテルを栄養素の扱いとして戦闘機能等のエネルギーを大量に消費する行動にしようする仕組みとなる。

ここからは想像によるがこの機体が作られた世界は魔力を使う概念はあっても、ここ程の魔力がなかったのではないのだろうか。

その関係で基本武装を持たず、本体は徒手空拳を基本とし、拡張装備で火力を底上げしていた。


「後は本人と話してみてからか…。」


ブループラネットから代替えになる部品を探すとマナジェネレーターというものをみつけた。


「独立で起動すれば後は本人が何とかするだろ。」


マナジェネレーター(500BP)


品物を組み込む前に1つ作業を行って彼女の動力として組み込んだ。


トール

【魔術】ショット(一式・通常型(一番)・二番【三連】・三番【波紋】・四番【臨界】、二式・近接型(一番)・二番【波動】、三式・変異型(一番))

【神具】神酒、知識の書、制約の剣

【道具】ディメンションバック(4話)、スマホ(4話)、清水の水袋(6話)、輝きの石(6話)、BPベーシックカタログ(13話)、魔力エアジェットトライク(24話)、魔力エアジェットトライク専用コンテナ(24話)、魔力エアジェット専用ツナギ(24話)

【重要】森の胡桃(5話)、大鬼の涙(21話)

【称号】森の友(5話)、鬼殺し(21話)

【BP】6250-500=5750

(東果ての森→ルミット→シラク→ダンジョン『小鬼の巣窟』→ナーク→トゥレ)


エイダ

【魔法】火魔法(レベル3)ファイアショット

【技能】弓術(レベル5)、蹴り(レベル8)(15話)、採取(レベル5)(16話)、清掃(レベル6)(16話)、房中(レベル6)(16話)、怪力(レベル8)(16話)、高速再生(レベル3)(20話)、軽業(レベル1)(25話)

【道具】短弓、矢筒、短剣、黒のチョーカー(12話)、魔力エアジェット専用ツナギ(24話)

【重要】隠者の誓い(12話)

【称号】忠誠を捧げしもの(12話)


エル(エリッサ)

【技能】運搬(レベル3)、サバイバル(レベル3)、陽動(レベル1)

【道具】左眼『眼石(原石)』(22話)、右腕『悪魔の腕』(22話)、右腎臓『人工臓器』(22話)、上行結腸『魔力貯蔵庫』(22話)、伸縮自在軽量スニーカー(24話)、馬鹿から始めるシリーズ賢者編(24話)

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