第21話
エイダは強くなった。
最初の頃はまだボスモンスターが初期化されたことで戦いの形にはなっていた。
それも直ぐに上層階で人が死んでいく度に強くなっていくオーガを前におう殺が繰り返された。
本来なら一秒後の死を超速再生が無かったことにする。
そして、それは痛みが伴う代わりに筋肉痛までも即座に回復させる事で、筋肉が細いまま強く進化を始める。
元々、百年以上生きている生物であるエルフにとって一秒の価値は人間よりも低い。
今まで忘れられてきた肉体に眠る経験値が濃縮された時間の中で目を覚まし、急速に体術を向上のため昇華させていく。
遂にはオーガの攻勢を破るものの、相手もまた同じ動力を元に回復するため千日手となった。
約3週間と少し潜った事で入場税の更新の頃合いとなった。
今回は半月分の更新として税を支払い、久し振りに宿に入ると昂りを抑えきれなくなったのか、部屋に入った直後に体を寄せてベットへ入るのだった。
「…もう朝か。」
「Zzz…」
戦いの中で溜まっていた欲求が爆発したのか、一晩中相手をさせられ続けた。
そういえば前よりも耳が丸くなっているようにも思える。
そういえば、スキルオーブ以外の物を見てなかったな。
・オーガ(亜種)の死骸(500BP)
・大鬼の涙
大鬼の涙
オーガの上位種が慈悲を求めて流したといわれる結晶。
所持することでオーガに属するものに恐怖を与え、畏怖を感じさせる。
その者の攻撃はオーガに悲劇を与えるものとなるだろう。
「オーガを圧倒できる程強くなったのにまだ支配されていたいのか?」
俺の腕の中にいる彼女は驚いていた。
でも直ぐに目をつむってこちらに少し転がるだけで何も答えなかった。
彼女は俺の支配下にあるが特別何かを指示したことはない。
オーガとの戦闘も嫌がれば止めた後に記憶を封じて修道院に金と一緒に置いてこようとまで考えた。
だが、そうはならず、欲求がここまで溜まるまで闘い続けたのは何の為なのかはわからなかった。
数日間の休息を経て町を散策した。
ダンジョンの浅い階層にシルバースライムが出現する噂を聞き付けて色々な人間がダンジョンに潜っている。
特に地図屋と呼ばれる業種の人間は安全にあの階層までたどり着けるように地図を作っていた。
無駄なことを。
壁に書いた印や物は普通のスライムが優先して排除する。
更にキルフロアに落とすスライム床は、正解の道は常にランダムであり、5本の道は最終的には繋がっていて、壁もスライムで仕切っているだけだった。
文字通り、ダンジョンに選ばれた者しか生還することが叶わないのだ。
「浮浪者が増えたな。」
「冒険者も増えましたね。」
前者は元から町に居たもの、後者は町に入ってきたもので、今まで冒険者達に使われていた子供達が仕事を失って行き場を失っていた。
五体満足で健康な子供はいい、まだ生き方はある。
問題は、ダンジョンで餌にされかけられて生き残ってしまったような子供だ。
そういった子供達は町にあったスラムに身を寄せるしかなく、そこでは多方面からよりマシな子供からスラムの真の住人から売られていた。
それは犯罪組織であったり、実験動物的なものを求めていたやつだったり色々だが決して行先は明るくない。
そんな場所でこいつが目に入ったのはほんのきまぐれだった。
左眼と右腕を失って栄養失調のせいか皮と骨だけになっいる。
年齢は10歳くらいか、手間をかけてもはたしてどこまで治るものか。
「エイダ。」
「はい。」
「こいつを売ってこい。」
溜まっている魔晶片を幾らか渡して換金に向かわせる。
2人きりになったところで問う。
「生きたいか?」
「………」
これはほんの些細な気まぐれだ。
十秒後に同じ気持ちでいるのかも怪しい。
まさしく地獄に垂らされた1本の糸。
体は動く事はなく、喉は掠れ避け、思考は消失した中で残っていた隻眼が最期の本能で掴んだ。
「いいだろう。」
抱え上げ、向かう先はこの町でもっとも安全な場所だ。
ダンジョンマスターになるとダンジョンから放出されている魔力範囲に入る位置から最奥までの移動が可能となる。
対象はマスターと認証を受けたものだ。
さて、拾ったはいいもののどうするか…。
普通の義眼や義肢があるとは思えない。
それにあったらあったでこの世界の好事家にむしり取られる。
…困ったときはネットで調べるか。
ダンジョンマスターになったことでダンジョン内からブループラネットへのアクセスが可能になった。
ネットショップには高性能な義眼や義肢が売ってはいるが比較的高額でやたらと高性能なものばかりだった。
聞いた方が早いと思いいたり、メッセージ機能でアシトへ相談の内容を送った。
「相変わらず速いな。」
「この度はブループラネットへの御相談ありがとうございます。私は在籍しております調律師です。」
「調律師?」
「はい。例えばですが失われた足にモンスターの足を繋げるという作業をする場合、同じ種族同士でも拒絶反応が起こります。」
「それは理解できる。」
「はい。また、部品もモンスターの形のままなため、神経との接続や機能面で不都合が多くあります。そういった細かな障害を取り除き、最良な形として提供する仕事をしております。」
「といってもな、手持ちにモンスターなんぞ…。」
現役のダンジョンボスに意識が向く。
「いえいえ、まだそれは青い果実のようなもの。お客様にはお手持ちのモンスターがいらっしゃるようです。」
トール
【魔術】ショット(一式・通常型(一番)・二番【三連】・三番【波紋】・四番【臨界】、二式・近接型(一番)・二番【波動】)
【神具】神酒、知識の書、制約の剣
【道具】ディメンションバック(4話)、スマホ(4話)、清水の水袋(6話)、輝きの石(6話)、ポーション(8話)、BPベーシックカタログ(13話)
【重要】森の胡桃(5話)、大鬼の涙(21話)
【称号】森の友(5話)、鬼殺し(21話)
【BP】14400
(東果ての森→ルミット→シラク→ダンジョン『小鬼の巣窟』)
エイダ
【魔法】火魔法(レベル3)ファイアショット
【技能】弓術(レベル5)、蹴り(レベル8)(15話)、採取(レベル5)(16話)、清掃(レベル6)(16話)、房中(レベル6)(16話)、怪力(レベル8)(16話)、高速再生(レベル3)(20話)
【道具】短弓、矢筒、短剣、黒のチョーカー(12話)
【重要】隠者の誓い(12話)
【称号】忠誠を捧げしもの(12話)
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