第14話

ダンジョン。

星を巡る地脈の魔力が吹き出す場所にあった洞窟や建物、果ては森や山、地下渓谷が変異した異界。

前前世では詳しく知らないが、前世では資源よりもその土地を巡った争いに何度か巻き込まれている。

そのダンジョンがこのシラクにあるという。


「なるほど。それでこの賑わいか。」

「ルミットも大きな町とは思っていましたが…別物ですね。」

「ああ。ダンジョンは金を生む。それに関してはどこも変わらんらしい。」

「金ですか。」

「たいていの人間にはそうなるだろうが、そうでない人間は地位や名誉を得る場となるだろうな。」

「…まだ、金の方がましです。」

「だろう?」


入場税を払い宿を取った。

「ダンジョンかい?お前さん達は冒険者なのかい?」

「いいや。冒険者じゃないとダンジョンには入れないか?」

「そんな事はねぇが…、今はオークション前だから何時もより人が多いからなぁ…浅い階層には何も残って居ないかもしれねぇな。」

「ほう、盛況しているな。ちなみに地下のダンジョンなのか?」

「あぁ。」


宿であった元冒険者は喉をかくような仕草を見せる。


「これで好きなのを飲んでくれよ。」

「悪いなぁ。これは独り言なんだがよ。今、地図屋は大忙しだ。何せ久し振りの変遷がオークション手前でやって来やがった。ここを拠点でずっとやっているっていう冒険者はすくねぇんだ。何せ、田舎だからよ。皆、普段は都のダンジョンで稼いでいるのさ。」

「普段よりも気前よく買い取ってくれるのか。」

「ああ。後は溜め込んでいた品を吐き出すやつも多いからな。その為に1度ダンジョンに潜るやつもいるくらいだぜ。」

「参考になった。」


話を聞かせてもらった元冒険者に多めに金を渡して部屋に入った。


変遷…か。

前世ではダンジョンの間取りや出現するモンスターが変わる事を意味しているが、どうやらこちらでも同じとは言わないが、近い意味を持っていた。


その後、数日聞き込みを続け、この世界のダンジョンがどの様なものか輪郭が掴めてきた。

最後に裏付けを取るため、アシトへ連絡したところ『ご想像にお任せします』と一文が返ってきた。


「エイダ、ダンジョンに潜る。覚悟を決めろ。」

「覚悟…。」

「少なからず現状、ダンジョンは誰の管理下でもない。もし、管理下であるなら変遷は起こらない。管理者がいて変遷を起こすようなもはやそいつは管理者ですらない。」

「…話がよくわからない。」

「そうだな。端的に言えば、このダンジョンは入るまでどのレベルなのかわからないから死にたくなかったら死ぬ気で生きろってことだ。」


シラクのダンジョンは常時入場が許可されているが、基本的に夜間出てくるものはいても、入るものはいない。

万全な準備、体調管理、集団であれば訓練や連携を確認も怠っては死に直結する。

それがダンジョンだ。


「なら、なんで夜間に入るか。」

「?」

「聞きたいだろ?」

「それは、まぁ。」

「ダンジョンは戦っているときよりも休んでいるときの方が大変なのさ。」


ダンジョンは魔力溜まりからモンスターが生まれる。

ということは休む際、必然的に魔力が薄いところを選ぶ必要があるのだが、モンスターも生き物だ、ずっとその場にとどまる事はない。

特に管理者がモンスターの管理をしっかり行うほど、巡回するルートというのができてしまう。

それはそれで面倒もあるが、ここのように管理者がいないであろうダンジョンはそのルートはないに等しく、先人は自分達でセーフエリアを見極めキャンプを取るのだ。


「俺達は物音を発てずにキャンプの脇を通っていく。」


戦わなくていいなら、戦わない。

それがダンジョンの基本原則。

それを俺は前世で世界に両手の数もない特級ダンジョン、旧江戸城地下墳墓で身を持って学んでいた。


トール

【魔術】ショット(一式・通常型(一番)・二番【三連】・三番【波紋】・四番【臨界】、二式・近接型(一番)・二番【波動】)

【神具】神酒、知識の書、制約の剣

【道具】ディメンションバック(4話)、スマホ(4話)、清水の水袋(6話)、輝きの石(6話)、ポーション(8話)、BPベーシックカタログ(13話)

【重要】森の胡桃(5話)

【称号】森の友(5話)

【BP】15600-100-1100=14400

(東果ての森→ルミット→シラク)


エイダ

【魔法】火魔法(レベル3)ファイアショット

【技能】弓術(レベル5)

【道具】短弓、矢筒、短剣、黒のチョーカー(12話)

【重要】隠者の誓い(12話)

【称号】忠誠を捧げしもの(12話)

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