第319話 華辻 4
「華辻はここまでです。この先、少しばかりご協力いただくことがございますが・・・」
「構わないよ。彼に害がないのならね」
小男に応える
それはそうだろう。
社交辞令でも建て前でもいい。
こんな時くらいは『彼以外にも!』害のないよう、ぜひとも確認してくれるべきだと二人が心から思うのは当然のことだ。
とはいえ、それを口に出してみたところで空しい返答が待ち受けていることは分かり切っている。
「あの・・・。協力って一体、どんなことを?」
「難しいことではございません。常世郷の安寧を守るため、ここで過ごされる皆様には一つの契約をお願いしているのです」
「契約?」
「はい。滞在される全ての方に、御印となる石を一つ、預けていただいております。・・・上を、ご覧ください」
彼らのよく知る空と違うのは、ここに浮かぶ星々は全くもってじっとしている様子がないということだ。
ほとんど動かないものもあるにはあるのだが、多くのものは常に揺れ動いて落ち着くことがない。
「あれらは全てここにいる者の印なのです。この地はここに祭られているお方によって我らに与えられた拠り所。不届き者の横行を許すわけにはまいりませんので」
「つまり、ここにいる者たちは全て監視されているっていうことかな?」
「相違ありません」
「ずいぶんと潔いね」
「ここまでお傍にご一緒させていただいたのです。この期に及んで愚行を犯すほど愚か者ではないと自負しております」
「今の、どういう意味?」
「あの男は金に目がくらんだただの愚か者ではないということさ。
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