第311話 放置 2
大人三人組の目の前を、ちょうど具合のいいことに、横断中の巨大な赤色トンボの軍団が塞いでいる。
「これで追いつける」とほっと息をついた
巨大トンボの群れがまるで示し合わせでもしたかと思うくらいピタリと息を合わせて空中でホバリングしたまま、動きを止めたのである。
しかも嫌なことに、この恐ろしくでかい昆虫たちときたら、
「くぐるしかないだろな。」
「ああ。」
トンボとは言っても胴体の長さだけでも
それが煌びやかな大量の提灯の光を遮るほどの大軍で流れているのだから、下をくぐるのは相当の勇気がいる。
不気味な音ともにと吹き付けてくる風で舞い上がりそうになる
体当たりしてきた一匹の間抜けなトンボを腕で払いのけ、ようやく薄暗いトンボ雲の下をくぐりきる。
「おーい! 二人ともこっちだ!」
今度こそようやく4人が追い付くと、
仮面をつけているので表情を確かめることはできないし、仮に見えたところでいつもの冷え冷えとした
だがそんな
「ありがとう」
「どういたしまして」
仮面越しに聞こえる
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