第310話 放置 1
「あるお方・・・っていうのは、もしかして
「なんと。
その時店の中で再び歓声が上がり、小男は顔をわずかにしかめる。
「さて。ここは話をするにはいささか賑やか過ぎる。そろそろ先へ参りましょう」
「そうだね。どうやらこの先まだ少しばかり、時間もかかりそうだし」
「
「おう」
捨目魚の目玉取りをしている子供たちにすっかり見入っていた
「
お祭り騒ぎをしている子供たちの笑顔を見ていると、
なのにそれが
状況が許すならもう少しこうしていたいが、すでに
思いっきり後ろ髪を引かれながら
「急ごう!」
「あぁ」
亀のような速度で地を這って道を塞いでいる巨大な紫色のヤモリをまたぎ、
蒼い衣をギリギリのところで見失わずに追いかけているのだが、なんといってもこの通りときたらおかしな横断者が絶えず、問答無用でいたるところから飛び出してくるのである。
「おぉい。踏むな踏むなぁ。」
間延びした声で苦情を伝えてきたのは、牛の影だ。
当の牛は四方八方から無法者どもにぶつかられようとも、全く気にする様子もなく呑気に草を
「踏まれるのが嫌なのに、よりにもよってあんなでかい牛の影に生まれちゃうなんて。気の毒な奴だな。」
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