第308話 外店 11
透き通るような白い首筋に、ふわりと触り心地の良い小さな身体を柔らかく摺り寄せる。
「
「ありがとう・・・。」
「駄目だよ、
これ以上気にしていれば、
2人のやり取りを酷く優しい微笑を浮かべて見つめていた
「そういえばさ。」
「ん?」
「黒の奴はどうして自分の家に帰らないんだ。最強の妖鬼って言われてるんだ。それこそ、自分の家に居るのが一番安全なんじゃないか。この世界で一番おっかない奴だ。そんな物騒なところに近づく奴なんていないんだからさ。」
その言葉に、
「奴の戻るべきところは、
「それって、どういう・・・」
以外にもこの発言に食いついたのは
だが、
突然背後で起きた歓声に、一同は思わず振り返る。
そちらに目をやると、いくつもの穴が不ぞろいに上向きに開けられた真四角の大きな石のかたまりが置かれている。
その前で、まだ幼い妖鬼の子どもらが身を乗り出して、穴から飛び出してきた、蝶のようにひらひらと舞い踊るものを摘み取ろうと、手にした箸でしきりに追い回していた。
石の中から、白い蝶が落ちてくるたびに何か大きなものがぶつかるような、ドンという恐ろしく重い音が響く。
「あれは?」
一体この男ときたら、どれほど逞しい商売魂を持っているのか、呆れるほどだ。
「あれは最近流行りの子供の遊びですな。石の下を
「
「おや。ご存じないですか。」
「残念ながら、生き物には酷く疎くてね。」
「頭部についている目玉を空中に打ち出す巨大な魚です。子供らは奴が打ち上げた目玉を箸でつまみ取り、その数を競っているのですよ。」
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