第303話 外店 6
「それじゃぁ、始めようか。」
言うが早いか。
と言うよりも、
巨大な拳がうなりを上げ、
小男が言っていた通り、その勢いはすさまじかった。
まともにくらえば顔の形が変わってしまうどころか、命さえ危ういだろう。
この男の力の強さが口や見せかけだけのものではないとすぐさま理解した
だが、叩き込まれた拳は無念にも、仮面の前一寸ほどというところでピタリと動きを止めてしまったのだ。
ぶるぶると震えたまま、こめかみに破裂しそうな太い筋を浮かべ大男は固まっている。
「呆れた奴だな。まだ君から金をもらってない。」
「貴様!術を使うとは卑怯だぞ!」
「卑怯?術を使うのは反則なのか?」
どうやら
「問題ないそうだ。」
「だけどまぁ、
「どうぞ。もう一度君が打っていい。・・・ハンデだ。」
もはや怒りで言葉のひとつもでないでいる大男は、ギリっと奥歯を噛みしめ、またもや遠慮なく
だが、
大男の岩のような拳を
「気が済んだかい。それじゃぁ次はボクの番で、いいのかな。」
大男の身体は変わらず震えていたが、先ほどの震えとは全く種類が違っている。
得体の知れない力を前に、ついに恐れを感じ動けなくなってしまったのだ。
だが、この冷徹な蒼い妖鬼がこんな些末なことで満足するわけがない。
よりにもよって、彼が何よりも大切にしている
怯え切って震える瞳をみれば、
わずかに顎をあげた
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