第302話 外店 5
やはりこの漢字のような模様はここでの金銭の単位を現しているようだ。
だがこの板には他の板に描かれている数字の部分が書かれていない。
「もしかして、好きな額をここに書けって言ってるのか。」
「金はいらないよ。それよりさっきからこれが気になっていたんだ。もらってもいいかな。」
言いながら
「うん。綺麗だ。」
目を丸くしてそれを見ていた巨大懇がようやく一つうなずくと、
「ありがとう。交渉成立だね。」
冥府を巡るためにと黒く色を変えた
艶のある長い髪を優雅な仕草でとろりと後ろに流しながら、
「待たせたね。始めようじゃないか。」
大男は煮えたぎる怒りで血走らせた目をギロリと
むしろすぐに襲い掛かることなくここまで利口に待っていたことを褒めてやりたいくらいの形相だ。
「誰かルールの説明をしてくれると助かるな。」
「そんなに大層なものはございません。ただ一度ずつ殴り合えばいい。降参したらその時点で終了。倍率に応じた掛け金が手に入るという仕組みです。」
小男は
「
「ありがとう。
「その面。はずさなくていいのか。壊れるぞ。」
「ああ、これ。確かに壊れてしまうのは困るね。彼と揃いのもので、とても気に入っているんだ。最も・・・」
その仕草は誰が見ても一目瞭然。
大男をこのうえなく馬鹿にしているものだった。
「
「貴様っ!」
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