第298話 常世郷 5
「色・・・ねぇ。」
彼にしては珍しく、わずかに気持ちを沈ませているようだ。
「
「どうした?」
「色・・・とは?」
どうやら後ろで
せめて相手が
そんなことを考えつつ、
「つまりさ。性的に盛んだと言いたいんだよ。・・・この人は
「蒼は、そんな者ではない・・・と思うが。」
少し口ごもりながら小さく訴える
「俺も。そう思ってる。」
ちょうどその時、再び大きな歓声が上がる。
前を行く
「ちょっといいかな。」
「はい。なんなりと。」
「今の店、随分と盛り上がっていたね。一体何をしているのか、少し気になってね。」
男は立ち止まると、小さくうなずいた。
「
「そうだね。次の約束があるのだけど。あの長すぎる階段では時間が止まっていたようだから、まださほど急ぐ必要はなさそうだし。」
もはや諦めたというように明るく笑い、男は先ほどよりも随分とくだけた様子で蒼に話しかける。
「お客人には叶いませんな。全てお見通しですか。」
「全て、というのがどれだけあるのかは分からないけど、
くすりと笑いながら
「そのような言い方はあんまりでございます。・・・まぁ、そういじめてくださいますな。あなたときたら本当に、怖いお方だ。」
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