第297話 常世郷 4
「忠誠とはまた。・・・随分と絆を大切にする者たちが集まっているんだね。もしかして、ここをこうして外から隠していることは、それと関係があるのかな。」
「絆などそんなに大層な代物ではございません。・・・・・・返しきれない恩義のある方なのです。あの方に対してだけはこうして忠誠を誓ってはおりますが、互いへのものはそう厚いものではありますまい。くれぐれもお気をつけください。」
脇道から飛び出してきた真っ赤な毛並みの猫を器用によけながら、男は視線を
「それにしても、鋭いお客人だ。確かにここを隠しているのはそのためでございます。まさか、
男の言葉に、
「双凶の
男は顔を大げさにしかめ、こくこくと大きくうなずいた。
「左様でございます。・・・と、言いたいところなのですが、実は最近になり、私は少しばかり考えを改めたのです。」
「というと?」
「先ほど申しましたが、
「言うねぇ。・・・
「会ったことはありませんが、伝承通りであるとすれば・・・自由奔放で我が儘。直情的で、気に入らないものは迷わず瞬時に始末する。血と色にまみれた、節操無しのド派手な妖鬼・・・ですかな。」
「あながち外れてないんじゃないか。」
「確かに。」
小声で言いながら笑い合っていた二人は、
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