第291話 脚休め 8
得意げな小男のすぐ後ろをついて歩く
噴き出しついでにむせてしまい、咳き込みながらもんどりうっている
「おや。大丈夫ですか。女どもに水を持たせておけばよかったですかな。」
まさか自分のことを嗤ったがために
上客を気遣う小男の猫なで声が、ヘビの腹の中のような薄暗い階段の石壁を叩き、空しく響いた。
「ありがとう。だが、こいつのことは気にしなくていい。よくあることなんだ。」
仮面を被っているため表情は確認できないが、以外にも
むしろ気になるのは、彼の横に並んで歩いている
全くの無反応に見えるのだが、なぜかその透き通るような白い手は、蒼にしっかりと抑えられている。
小男は先ほどより速度を少しばかり緩めて階段を下りながら、再び口を開いた。
「恥さらしなことに、
一度言葉を切ると、小男は少々浮かれた口調で続きを口にする。
「まぁ正直、あの神妖が相手では、魅せられてしまうのも分からなくはない。実は私も一度、偶然にかの神妖を見た事があるのですが、あれはあまりにも美し過ぎた。
夢見心地な様子で、小男は束の間言葉を止めぼんやりとしていたが、はっとして咳ばらいをした。
「とにかく、色恋にうつつを抜かしている年増の色ボケ妖鬼が、暇を持て余しているとはとても思えませんし、私がそんな者に遅れをとるとも思えません。」
直前に一瞬、
「数は少ないようですが、奴には忠実で非常に有能な配下がいるという話もありますゆえ。
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