第286話 脚休め 3
にもかかわらず、あまりにも爽やかに、澄み切った口調ではっきりと
「ここにいていいのは、どんなに醜くても美しく生きたいと望む者・・・そしてそれを心から愉しめる者だけだ。さっきも言ったけれど、冥府は分かりやすい弱肉強食の世だ。・・・けどね、ボクは単純過ぎる力馬鹿以外の、目に見えない強さが嫌いじゃない。」
そう言って
明らかに
「ここは、力の強弱に関係なく、心のまま楽に生きることを選べる場所なのさ。そうでなければ妖鬼として生まれ落ちた意味がない。ボクは心を醜くただれさせたものが、反吐が出るほど嫌いなんだ。・・・だからここにそういった意味での穢れが存在することは、絶対に許さない。」
「例えば・・・、無理やり女を捉えてきて、金儲けのために飼っている奴・・・とかね。」
言動はいつもと変わらず、非常に軽やかで調子のいいものに感じるのだが、
内心を抑えきれなかったのか、
ごくりと息をのんだ
「女たちの足には、気づいているかい。」
「足?」
言われてよく見て見れば、よろめきながら歩く女たちの衣の裾が上がるたび、そこから白い布に覆われた異様な状態の足先が覗く。
「なんだ・・・?包帯?」
「うん。」
だが、なぜほとんどの女の足に包帯が巻かれているのか、これを見ただけではさっぱり理解ができない。
この店の雰囲気は極めて穏やかで、包帯が必要になる状況など一向に思い浮かばないのだ。
「あの足はね、」
「ちょうどいい。説明するのも面倒だから、案内してもらおうか。」
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