第282話 冥府は怖いとこ? 2
「さて、すぐ先に足湯があるんだ。まずはそこに寄ってみようか。」
緊張でわずかに汗ばんだ手を握りしめ、
見事なまでに年輪を重ねた重厚な樹々に鳥居のごとく囲われた石段はなかなか神秘的なものである。
緊張がとけてきた一行にその情景を楽しむ余裕がようやく出てきたころ、にわかに景色が変わった。
煌びやかな木造の建物が各々の美しさを主張しながら、眼下へ向かい、気持ちいいほど果てしなく連なっている。
酷く
一見まとまりのない個性豊かな華やかさに、品の良い規則的なその輝きは、繊細な統一感を作りだしていた。
一歩進むごとに徐々に活気を増す街並みは、美しい着物を纏うたくさんの女たちでにぎわっている。
「おやまぁ。かわいいぼうやだねぇ。」
店先を通り過ぎていく男たちに愛想よく声をかけていた女の一人が、
縦に裂けたような瞳孔を細め、女は値踏みする様に一行を見つめている。
「暇なら遊んでおゆきよ。安くしとくからさ。」
長い髪をなびかせながら、女は、
「綺麗なぼうやだね。あんたなら、金はいらないよ。・・・むしろあたしのところで一緒に働かないかい?あたしが全部・・・教えてやるからさぁ。」
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