第281話 冥府は怖いとこ? 1
冥府や鬼界などという不吉な響きが全く似合わない秀麗な建物は、壁や柱自体が淡い光を
これほどの巨大な建物なのに、施された飾り細工の一つ一つまでもが極めて丁寧に、精巧に造られていた。
圧巻の雰囲気を纏いながらも、凛として澄みきった清々しいその立ち姿からは、驕りや雑念などの淀みは一切感じられず、ひっそりとした清涼感さえ漂っている。
「拝んで賽銭を投げ込んでやりたくなるな。」
「ここの光は熱を持たないし、肌を焼かないんだ。陽の光とは違ってね。・・・だからって光の柱を直接見たりはするなよ。強い光だ。目を傷める。」
「この先が『石段通り』だ。・・・本当は店に直接移動してもよかったんだけど、せっかくだからちょっとくらいは見たいだろう?冥府がどんなところか。」
先ほどの恐ろし気な話を、これでもかと言うほどしっかりと記憶している
「大丈夫。みーくんには私がついてる。」
みーくんには・・・・・・。
三人の様子を見ていた
「そう不安がるな。そんなに恐ろしいところでもないさ。・・・それに、石段通りはボクの影響を大きく受けている唯一の場所だ。ここを汚す無礼な奴をボクが許すわけがないだろう?ただし・・・」
「ただし・・・なに?」
意味深に口角をあげた
「ここは冥府の中でも最奥に近い鬼界に位置している。一歩でも外れれば保証はできない。だから、離れるなよ。何度でも言うが、ボクには
あまりにも明け透け過ぎる正直な言葉に、
「おい、そんなにくっつくな。ボクを馬鹿にしてるの?誰が結界を張っていると思ってる。よほど遠くに離れたりしなければ、大丈夫に決まってるだろう。石段通りから出て、さらに奥に入り込んだりしない限り問題ないさ。」
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