第279話 光弘の支度 7
「手を、出して。」
癒がはかなげなふわふわの前脚を差し出すと、
「ごめんね。・・・癒に似合う飾りを、何か持っていたならよかったのに・・・・・・。」
「いいの?」
「これしか持っていないんだ。だからそのセリフは、きっと俺が言うべきものだよ。」
「嫌じゃなければ、これをつけておいて。」
「・・・嫌なわけないよ。」
白い蝶の形に整えた髪紐の尾を
柔らかな身体を酷く心地よさそうに、何度も何度も彼の首筋に摺り寄せる。
「ありがとう。」
「飛びにくかったら、すぐに外して。危ないから。」
光弘のその言葉に、癒はわずかに顎をあげ首を小さく横に振った。
「大丈夫。もし、これが無くなってしまったら、違う意味で飛べなくなってしまうかもしれないけどね。・・・・・・だってこんなに、幸せなんだ。」
片方だけ少し短くなってしまった
「長さが少し、違ってしまったね。」
「・・・いいんだ。これで。」
それに応えるように、
「行こうか。」
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それもそのはずで、
考えてみれば、すっかり二人の世界に浸りきり、極めて慎重に海神の支度を整えている
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