第278話 光弘の支度 6
尋常でないほどの強烈なふがいなさに、
「・・・ごめん。」
背の痛みすら心地よく感じるほどの罪悪感を味わいながらその言葉をつぶやいたのは、力なく伏せている
叶うなら今すぐにでも駆けつけ、
そのあまりにも強すぎる後悔は、瞬く間に弾けそうなまでに膨れ上がり、無意識のうちに
「姉さん?」
不安げに声を掛けられ我に返った
本心をすっかり綺麗に包み隠し、自然に見えるであろう微笑みをどうにか張り付けた
「そんなに心配ばかりしないで。なんでもないんだ。少し、考えていただけだよ。・・・そうだね。私に準備は必要ない。
そういって軽く背伸びをし、
そのほっそりとした白い手首を、
ふいに触れられ、
心臓がキュッと縮み上がるような動揺を必死で隠しながら、小首をかしげ微笑んで見せる。
「なんだい?」
落ち着いた様子を装って覗き込んだ
「姉さんが・・・もし生きていたなら。ようやく、少しは守れるくらい強くなったのに。・・・凄く・・・悔しいよ。」
唐突に紡がれた、
「・・・・・・ありがとう。その言葉だけで、十分だ。」
・・・・・・私はあなたに、狂おしいほど存分に甘やかされ、いつだって守られている。
今も、昔も・・・・・・。
胸の内に大切な想いをひっそりと抱きながら、羽毛がふわりと落ちるような軽やかさで、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます