第276話 光弘の支度 4
誠実さで溢れるその言葉には、真実として受け入れてしまいたくなる得体の知れない強い力があるものだから、
「他に、聞きたいことはある?・・・なんでも聞いて。」
「・・・・・・今はもう、大丈夫。・・・・・・少し、羨ましいな。
「・・・ねぇ。そんなに黒のことを気にしているのに。・・・・・・聞かないの?彼が近づいてきた
迷っているのだろうか。
『黒の大切な人が羨ましい。』という言葉だけでも、
しばらくの沈黙の後で
「・・・・・・黒が望まないことを、知りたいとは思えないよ。」
明らかにその声は震え、諦めに似た悲壮感に満ちていた。
「・・・もし、俺の力が彼の役に立つのなら、全部彼の物にしてしまって構わないのにって思ったんだ。・・・それを目的に彼が俺の元に現れたのなら・・・・・・。俺に力が無かったら、結局、彼とは出会えなかったから・・・・・・。」
そんなことには気づかないまま、
「ただ・・・・・・。」
「ただ?」
「・・・少し、寂しい気がしていただけなんだ。」
「・・・・・・。」
「今はすごく嬉しい。・・・本物の彼とこうして、現実でも過ごせるようになるなんて、思わなかったから。」
「本当は彼の元へ戻りたいけれど、それはきっと、俺だけのわがままだから・・・・・・。」
「みーくん・・・・・・。」
「ありがとう、姉さん。ちゃんと答えてくれて。・・・・・・俺も、冥府へ行く。・・・・・・姉さんはいいの?その恰好のままで。」
澄み渡る早朝の陽の光のような爽やかで屈託のない
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