第275話 光弘の支度 3
「みーくん・・・・・・。昔語りの中の彼は、かなり強力な存在だっただろう。」
「うん。」
「彼が強力であることは本当だ。この天地において、他の誰よりも強い力を彼は持っている。同じ双凶である
「どういうこと?」
「彼はむしろ、とても弱い存在だった。・・・一人では生きていけないくらいに。」
「信じられない。だとしたらどうやってあんなに強くなれたんだ?」
「彼がどうやって強くなったのかを、知りたがる者は多い。・・・その力の秘密を手に入れれば、自分も同じように強くなれるかもしれないし、黒を倒し名をあげるための秘密が、そこに隠されているかもしれないからね。」
「だけど、この答えを知る者は少ないんだ。・・・そもそも、強くなることに彼は一切、手段を選んでいない。・・・だから、どの方法が彼を今のように強くしたのかと問われれば、それを答えるのは難しいだろうね。・・・・・・だけど、彼が強さを求めた理由は、たった一つだけだ。」
「それはなぜ?」
笑っているはずのその
「姉さん?」
聞いてはいけないことを問いかけてしまったのだろうか。
そう考え、
「幼い時・・・・・・。独りきりでさまよっていた死にかけの彼を拾い、酷く大切にしてくれる者が現れたんだ。彼にとってその人は、何よりも大切な存在となった。・・・・・・単純だよ。つまり彼はその大切な人を守るために、誰よりも強くなっていったんだ。これ以上力を求める必要なんて、これっぽっちもなくなるくらい・・・とても強くね。」
一言一言、
「力を目当てに、彼が
決して大きくはない声で語られる
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