第274話 光弘の支度 2
「随分とややこしい言葉を使うね。・・・ねぇ。みーくんは、神妖界の昔語りというのを聞いたことがある?」
「うん。」
「双凶の
「・・・その話は、本当なのかな?」
「どういう意味?」
「姉さんは知っているでしょう。俺は、何年も前から黒と一緒に夜を過ごしてた。彼が作る夢の中で・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「彼の世界は、素朴で綺麗で・・・あまりにも優し過ぎる。昔語りは黒には似合わないよ。・・・俺は、あの昔語りは嘘か、肝心なことを伝えていないいい加減なものなんじゃないかと思ってるんだ。・・・そもそもあれは、ただの昔話でしょう。」
神妖界の伝説とも呼ばれ、信仰に近い感覚で語り継がれている昔語りを『ただの昔話』として軽く蹴り飛ばしてしまった
「だけど・・・」
「だけど?」
「・・・もしそうだとしてもきっと、彼は本当のことを俺に話したりはしないと思うんだ。俺は彼にとって何の支えにもなれていないから。・・・それなのに、黒はどうして、そんな俺のそばにいるんだろう。どうしてあんなに優しくしてくれるの。姉さん。・・・それはやっぱり俺が・・・無色の力を持つ者だからなのかな?」
「・・・それは違う。」
俯いてしまった
「妖鬼である彼の生き方に、大した意味などない。彼らは欲望に忠実に生きることしかできない生き物なんだ。だから彼が今、みーくんのそばをただ離れずにいるというのなら、真実は一つだよ。・・・彼にとって何よりも大切な存在が、
「迷惑なんて!そんなわけない。」
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