第268話 蒼の館 20
思いがけない黒の言葉に、
黒は視線を外しこのうえなく気だるげに伏せると、呆れた様子でさらりと言ってのける。
「言ったでしょ。強くなりたいのなら、方法を教える。
胸がつまりそうになり、思わず赤裸々な言葉が口を突いて出る。
「黒・・・。君は、あまりにも心根が良すぎる。見ていて凄く苦しくなるよ。」
だが、そんな恥を知らない言葉を、黒が素直に受け取るはずもない。
瞬時にへそを曲げ、目に入れるのも嫌だという目つきで
このうえなく不機嫌そうにふんと鼻を鳴らすと、取ってつけたような言葉を口にする。
「・・・ねぇ、いつまで僕一人に子守をさせておく気?」
それだけ言うと、もうそれ以上口を開く様子は見せず、そのまますっかり顔を伏せ寝たふりをしてしまった・・・・・・。
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「・・・・・・これは。」
子供たちの元へ戻った
「君達、すごいなぁ。よくここまで辿りついたね。」
この子供たちは、つい先ほど指先に力をまとわせる方法を知ったばかりである。
まだ目の開いていない仔猫のごとく、このうえなく初々しいはずのその子供たちは、酷く落ち着いた様子で二人一組に分かれ、柔らかな草原に座り込んでいた。
中では数匹ずつ囲い込まれた毛むぐりが、出口を探しグルグルと凄まじい速度で動き回っている。
「
「・・・うん。」
「・・・いくよ。」
ぼんやりと覆うようにもう一つの網の囲いができあがると、都が口を開いた。
「・・・いいぞ。」
途端に内側の檻は跡形もなく姿を消し、都古の作る新しい檻が、再び中の者たちを囲い込む。
毛むぐりたちは、キーキーと文句を叫びながら、新しく現れた檻の中を再び追いかけっこでもするように転げまわり始めた。
「おかえり。」
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