第254話 蒼の館 6
この黒という男は一体なにをきっかけに、殺気を放っているのか
親し気な様子で語らいながら、すました顔をして、偽りのない鋭い殺気を放ってくる。
その殺気からとっさに
緊張で冷たくこわばった
「生まれたてのくせに妖月よりも偉そうにしている神妖なんて、普通じゃない。初めから、
「・・・・・・残念だ。君はもっと愚かな奴だと思っていたのに、僕の予想は外れたね。君は案外、賢い。」
黒が言うと、
「だといいんだけど、実は全く分からないことも多いんだ。・・・癒は君の作り出した化身じゃないだろう。君の強大すぎる妖気をあの幼い神妖の器を壊さずに、どうやってなじませたのかは、いくら考えたってボクにはわからない。」
「支配して操ることはたやすいだろう。だけど、憑依となると全く別の話だ。
憑依し身体を持ち主に返さないということは、つまり元々の
先ほど
乱れた呼吸を無理やり整えると、黒は、痛みにうめきそうになる喉にぐっと力を込め、やっとといった様子で身体を起こす。
生身の人であれば、気が狂うほどの痛みだ。
さらには、煮えたぎる熱をもった血潮が黒の全身を好き放題にどくどくとかけめぐり、一層彼を苦しめているに違いなかった。
このような状態になってまで、ささやかな支えすら一切受け入れようとしない黒の姿に、
この男は、これまでもずっとこうして独りで立ち上がり、時を過ごしてきたのだろうか・・・・・・。
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