第251話 蒼の館 3
「ねぇ。この前も言ったけれど、
先ほどまでの肌がしびれるような辛味の効いた雰囲気など、この二人の妖鬼にとっては、とっくに過去のものになってしまったようだ。
なのになぜか、喉の奥に小骨がちくちくと障っているように、彼の存在がどうしても気にかかる。
この二人の争う姿など見たくはないというのが
そんな
その言動にふわりと柔らかい気持ちに包まれた
黒の視線に気づき、はっとして慌てて居住まいをただす。
だがその時にはすでに
「それを話すなら、まず先に君に返しておきたいものがある。・・・これは、君のものだろう。」
片腕はしっかりと眉間にしわをよせた
黒は驚きに息をのみ、束の間目を見開いていたが、得心がいったといったところだろう。
ふいっと視線を逸らすと、すねたように口をとがらせた。
「・・・・・・
日の光を浴びると緑から桜色へと悩まし気な変化を見せるこの石は、装飾品としての人気が非常に高く、同時に極々希少な代物だ。
さらにこの石は耐久性や強度的にもすぐれているうえ、妖力との相性も良いので魔道具の材料としても極めて重宝されている。
そのことがこの宝石の価値をさらに高め、不動のものとしていた。
黒はこの石に記憶を保管し、転生時に正しく記憶を補うための道具として、自らの魂に括り付けていた。
だが、念のためにと二つ作り出したはずの石の一つは、黒の元へ戻ってくることはなかった。
黒は「転生の衝撃に耐えられず砕けてしまったのだろう」くらいに軽く考え諦めていたのだが・・・。
まさかそれが
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