第250話 蒼の館 2
「おい。必要ないと言っている。それに、
黒は苦し気に呼吸を乱し、吐き捨てるように言うと、深く息をついた。
「それで。・・・二人でそろってここへ来たということは、
「覚悟がついた。互いにもう、何も隠す必要はなくなったんだ。自分の口で直接・・・
黒は
いきさつまでは分からないし特に興味もないが、どうやらこの二人はようやく互いの過去を打ち明け合うことができたようだ。
以前感じた限りでは
・・・・・・名づけは、相手に対する服従ともとれる契約である。
主となる相手への秘め事はできない。
主となる者が望めば、自らですら意識していない深層意識の奥底に眠るどんなにくだらないことまでも、つまびらかにさらされてしまうことになるのだ。
この
やることなすこと全てが清々しいほど潔く、歯切れのよい行動を好んでいる。
しかもあんなにも暗く湿り気を帯びた場所に生まれ生きておいて、清潔さを好むのだからあきれたものだ。
この場に
そう思うと、黒は胸の奥をくすぐられ、小さくくすりと笑いをもらした。
「なにがおかしい。」
「いや。・・・やはり、君も憎めない奴だと思ってね。」
黒の言葉に、
「
あきれたようにため息をつくと、黒はわずかに顎をしゃくる。
「・・・・・・話してやれよ。
「・・・ああ。」
・・・・・・
その拳は無意識のうちにきつく握りしめられ、彼の顔色同様に色を失っている。
その様子を見つめながら黒は、ふいに口を開いた。
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