第248話 誘導 4
その場を支配する沈黙が重苦しいものではなく、得体のしれない哀愁に満ちていたから、
「…まあいい。」
諦めたように吐き捨てると、
「黒は今、ボクの館で預かっている。しばらくしたら
「それじゃ、ボクたちはもう行く。忙しいんだ。・・・あっ、子供たちのことは任せてくれていいよ。面白そうだからね。・・・・・・いいかい。ボクが余計なことを言ったと黒に思われるのは面倒だ。余計なことは、絶対に言うなよ。」
「
音もなく戸は閉まり、静けさが辺りを包む。
白妙は、固く目を閉じた。
何かがおかしいことは、既に彼女にもわかっている。
だが・・・・・・。
焼けつくほどの熱と痛みをともなって、
黒は確かに自分の目の前で
神妖の長を弑し、地界の人間を全て食らい尽くしたというのも嘘だというのか・・・・・・。
では、あの時地界を埋め尽くしていた青い炎は何だったのだ。
地界に生きる幾億もの人々は、一体どこへ消えた・・・・・・。
全てが、偽りだったというのだろうか・・・・・・。
あの日から二千年もの間、怨んで憎んで・・・黒の妖鬼を滅することを生きる糧とし過ごしてきた。
それは全て間違っていたというのか・・・・・・。
もはや何が正しいのかさえわからない。
ただひとつ、確かなことは、
「
何かを考え込むように固く目を閉じたままの白妙の手を握り、
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