第245話 誘導 1
完全に暴走した出来事はその一度のみだったが、
『舞』だ。
いつのころからか、
二人の真実を知る者など当事者の他にはなく、客観的に見れば、その舞が語る内容は、神妖界を救った唯一無二の英雄の輝かしい物語なのである。
当然、主人公である
それにどういうわけか、
心を操られているかのように請われるがまま男の神妖に姿を変え、舞を舞ってしまう・・・・・・。
その度に、
二年ほど前、子供たちの歓迎のために開いた宴で、
心が千々に乱れ、あふれる涙がとまらない。
だが、そんな
なぜなら、長、
泣き顔を隠すため、幻覚の仮面をまとい
全てを解き放ち、何もかもをめちゃくちゃにしてしまいたい強い衝動に駆り立てられながらどうにか仕舞いまで舞い終えると、
「君ほど聡い者が、こんなにも鈍感なのはおかしい。君、自分でも違和感を感じたことがあったんじゃないか?」
「こらえろ。・・・少し、痛む。」
鋭く細められた
白妙の額から背筋を通り、つま先まで余すことなく、身体中を無数の針でつつかれるような鋭く耐えがたい痛みが張り巡らされた。
ゆっくりと額を離れていく彼の指先で、細長い蟲がうねうねとくねりながら、ひき抜かれていった。
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