第243話 物の記憶 1
「ボクが見た記憶のなかで、
「恐らく
眉間にしわを寄せ自分を見上げる
「呪符の役目は終わったんだろう。呪符に残された
「ここはボクの想像になってしまうんだけど、妖鬼の中には、相手の精神をもてあそぶことに長けた者がいる。あそこまで徹底的に弱らせてしまえば、多少力のある妖鬼であれば彼の精神を直に侵し、操作することなんて造作もないことだったろう・・・・・・。実際、笛の記憶の中で、
「彼はただ、笛を鳴らすための道具にされていたんだろうね。・・・・・・そうしてある時突然、彼は吹くことをピタリとやめ、笛を放りだして走り出した。彼の駆けた先には、意識を失い崩れ落ちる一体の神妖の姿が見えた。笛が足元に落ちたため、その位置から顔までは見えなかったが、
「どういうわけか、自分を取り戻すことができたらしい
けたたましい笛の音に襲われ、意識を失ったあの時・・・自分の背を支え、守り続けてくれた者がいたのだろうことは、ずっと
そうでなければ、自分は確実に死んでいたのだから・・・・・・。
「その後、姿を消した彼がどこに隠れていたのかは知らない。だが、自我を取り戻したのであれば、生きることがとても辛かったろうね。一度印をつけられてしまえば、妖鬼から逃れることはできない。ましてやそれが精神を操る術を得意とする妖鬼となれば、目を開いても閉じても心休まることなどひと時もなかったろう。」
蒼の言葉に震えている
「自身の罪を、精神が引き裂かれるまで幾度となく見せつけられ、絶望を確認し続けることを強制されていたはずだ。・・・・・・再び君の前に姿を現した時。
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