第232話 白妙の心 1
子供たちを異界の草原へ残し、
「
広々とした玄関に響く
親しみきった場所であるというのに、どうやら礼儀正しいこの男は、迎えが現れるまで足を踏み入れるつもりはないようだ。
とりわけ急いでいるわけもなかったので、
「念話で呼んでみたら?」
「・・・うん。」
額に指をあて
「すまない。待たせた。」
「いや。」
「
「ああ。
「ふーん。」
つまらなそうに返事を返す
「
「うん。わかった。面倒は少ない方がいい。次からはそうさせてもらうよ。・・・
久遠としても、ただ手をこまねいて見ていることしかできない状況は辛い。
間もなく
「
白妙を呼ぶ海神の声が、頼りなく震えていることに気づき、
「大丈夫。・・・ボクが診るから。君はそばにいて。」
「
息を荒く乱しうめき声を漏らす白妙の背をなでながら問いかけてきた
「もちろん、大丈夫だ。彼らの元には
どこからか出した厚い座布団の上に海神を座らせた
にわかに訪れた静寂に、緊張が走る。
白妙から指を離すと、深く息を吐き出しうなじの辺りをガシガシと搔く。
「まいったな。そういうことか。」
「・・・
「しーっ・・・」
「・・・
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