第229話 毛むぐり 5
寂しさを感じ、なんとなく物悲しい気分になっている俺とは違い、こちらはハッキリとすねてしまったようで・・・。
「そうそう・・・言い忘れるところだったけど、毛むぐりは宿主1体に対し1体しか憑りつくことができないからな。そんでもってどういうわけか、そいつらはすでに君たちに懐いてしまったみたいだ。」
さらには、
「ご覧のとおりだ。・・・一度憑いてしまえば離れようとはしないし、他の毛むぐりも近寄ってこなくなる。他の奴の
ふいに、話している
不思議に思い彼の視線の先を追うと、
「こっちにおいで。みーくんには私がついている。彼に君は必要ない。私のところにくればいい。」
その顔には微笑みが浮かんでいるし口調は穏やかなのだが、目がこれっぽっちも笑っていない。
楓乃子の腕に巻き付きなおした毛むぐりは、ぷるぷると震え、光弘の足元に寄ってきていた他の毛むぐり達は楓乃子と目が合うや否や、一目散に走り去って行った。
「君はまったく・・・大人げない奴だな。」
呆れた
いやいや・・・どっちもどっちだろ!
一体・・・・・・この
ついさっき、
「・・・ああ、言っておくがこれは鍛錬なんだから、
言うなり
・・・・・・
先ほどと同じように気配を探ると、大分離れた場所に数匹の毛むぐりがいるのを見つけた。
だが、さっきとは打って変わって、毛むぐりは捕まえようとすると、ものすごい速さで手の内をすり抜け、逃げていってしまう。
かなりの時間をかけ、何度も挑戦してみたが、彼らの素早過ぎる動きに翻弄されるばかりで、まったく埒があかない。
触れることさえできないのだ。
結局、汗を流して追いかけまわしている間に、時間だけが過ぎてしまった。
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