第218話 願望 2
「海神。お前・・・なぜ、そんな顔をする。」
白妙の問いかけにみずはが、小さな顔を傾け不安げに海神を覗き込む。
「これだけ長く共にいれば、お前のその厚い氷のような無表情の奥も見える。お前、あの二人のこと、気に入っているのだろう。なのになぜ離れようとする。・・・・・・
恐らく、この鈍感過ぎる
わずかに目を見開いた後、切れ長の美しい目を哀し気に伏せ、まるで見ているこちらの心にまで霜が降りるようだ。
白妙が寂しげな笑みを向ける。
聞かずとも彼には、海神の答えが分かっていた。
「ならば、なおのこと・・・・・・共にある気はない。
固い声音を響かせた
片手で
白妙の胸の辺りから、くぐもった声がかすかに聞こえるのに気づき、
白妙は袂から繭玉を一つ取り出すと、「仕方のないやつだ」と小言を唱えながらため息をつき、中の者を出す。
「お前たち、案外と気が短いのだな。」
現れた二つの人影は、白妙に謝罪の言葉を告げ、海神に向き直った。
「・・・・・・
「
「ご無礼をいたします。
「・・・・・・。」
形の良い唇を固く閉ざしてしまった
「
「・・・・・・。」
「私はあなたの元を離れたくはない。人だから・・・・出会ったばかりだから、信用できませんか。・・・・・・お願いです。私を嫌ってくれないのなら、傍においてください。私はあなたを諦められない。」
「・・・・・・
射抜くような久遠の強すぎる眼差しと紡がれた言葉に、
・・・・・・戦いたくて戦っていた時など、一度もなかった。
そんな身勝手な理由で誰かを助けることは、ただの自己満足であり、わがままでしかないのだと、
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