第21話 小野寺 都古の物語>出会い 6
1匹の
そんなはずはない。
だが、術により役を命じられた蝶は、任を遂行するまで消えることはできない。
その蝶が残っているという事は・・・・・。
まさか・・・・・逃れたのか?
蝶は、ひらひらと辺りを舞っていたが何かに気づいたように、真っ直ぐ
(
私は心の中で再び名を呼んだ。
影の中から、手のひらサイズの人の形をした者が現れ、宙を舞いながら
背には
礼をしたことで、薄水色の長い髪が漢服ににた服の上をサラリと流れ落ちた。
「
私の問いかけに、鳳は可憐な少女の顔に厳しい表情を浮かべた。
「恐れながら、
やはり、間違いではないようだ。
蝶の攻撃を受け流して逃れ、更には彼らの索敵をも
「申し訳ありません。」
肩を落とす鳳を手に止まらせ、私は指で優しく
術を組んだのは私だ。
私の望み通りに力を貸してくれた鳳たちが責任を感じるのは筋違いだろう。
責任があるとすれば、それは私の方だ。
光弘の中に潜む者を打ち倒せる力が私にはなかった。
私の力が及ばなかったということなのだから。
「鳳。気に病むな。お前たちの力がなければ、潜む者に気づかず取り逃がしてしまっていたのだ。ありがとう。このまま私に力を貸してくれるか。」
そう言って
「我が
鳳の呼びかけに応え、和装の
鳳と違い、人間と変わらないサイズをとっている。
隙の無い動作で片膝をつき
「蝶と共に秋津を彼のお方に憑かせましょう。」
「ありがとう。秋津、悪いが頼まれてくれ。」
秋津は短く返事をすると、一瞬で姿を消した。
鳳の右腕である秋津が見守る中であれば、何者であろうとうかつに動いたりはできないはずだ。
鳳を影に帰すと、私はなにごともなかった風を装い勝の元へと歩きだした。
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