ジギルの夢 ~nightmare~ 1

 「――――オイ」



 声が聞こえる。


 「――――なぁ、オイ」



 誰かがオイラを呼んでいる。


 「なぁ、オイ。ジギル。少し話をしようぜ」


 「……んぁぁ? お前、誰だ?」

 気が付くとオイラは暗い空間に浮かんでいて、目の前には、頭に角を生やした、見たこともない生き物が浮かんでいた。


 「あぁ?俺か?俺はなぁ、お前に知恵を与える妖精さ。ゲッゲッゲッゲ!」

 「えぇー、すっげー怪しいぞ、お前」

 オイラがそう言うと、妖精(?)はまた、ゲッゲッゲッゲと笑った。


 「俺の事はどうでもいいんだよ、ジギル。それよりも今日は、いいことを教えに来たんだ。なあ、お前、人間と一緒にいるんだってな」

 「…ミーナのことか?」

 「あぁ、そうだ。ミーナだ、ミーナ。ゲッゲッゲッゲ!お前、知ってるか?この世界には、“ベネ”と“ギル”っていう、2つのエネルギーがあるんだ。まあ簡単な話、良い事をすれば“ベネ”が溜まって、悪行を重ねれば“ギル”が、お前の魂に溜まっていくんだ」

 「うーん…、オイラ難しい話は分かんねぇ」

  目の前の妖精はオイラに構わないで話を続ける。


 「まあ前置きは置いておいて、良い事をしたら溜まっていくエネルギー“ベネ”が溜まると、お前、聖獣に転生できるんだぜ!?」

 「ええ!?オイラ、聖獣になれるのか!?」

 「ああ、そうだとも。一族から聖獣が出たら、族長も喜んでくれるぜ~?」

 「そうかなぁ…、サラマンダー様も喜んでくれるかなぁ…!でも、どうすればいいんだ?」

 オイラはリザードマンの一族の長、サラマンダー様が喜んでくれるのを想像して、嬉しくなって妖精に問いかける。


 「人間と一緒に、良い事をすればいいのよ。良い事っていうのは、まあ、人助けみたいな事だな。俺はちょくちょく夢の中でお前に会いに来るからよ、時が来たら、転生の方法を教えてやるよ。応援してるぜ~、頑張れよ」

 「ああ、わかった、ありがとう!」

 オイラが妖精にお礼を言うと、妖精はまた「ゲッゲッゲッゲ!」と笑った。


 「あと、そうだ。ジギル、俺に会った事と、俺が今話したことは、誰にも話しちゃいけないぜ?忘れんなよ…!」


 妖精はそう言って、闇の中に消えっていった。



 そしてオイラは、もふもふのベッドの上で目を覚ました。

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