紅茶とテイオウ

 土日が終わって、また月曜日がやってきた。そして学校が終わるのを待っている。


「さようなら」

 学校が終わった瞬間、家へダッシュで帰る。

 家に帰り急いで手洗いうがいを済ませ、自分の部屋に駆け込む。

 そしてワルオンにログイン。


『今日のお知らせ♪』

 ・ランキングシステムが開始されました

 ・課金システムが開始されました

 ・課金アイテムお試しキャンペーン

 ・サーバーデータ共有システムの開始

 ・大型モンスターイベントの準備中

 ・小アップデートでカフェが実装されました。


 いま私は、奥の一人席で優雅に紅茶を飲んでいる。

 紅茶は一杯50G、だからたくさん飲むことができる。飲みすぎてもお腹を壊さないのがゲームの良いところ。

 それより今日学校で話してたことについて。

 そういえば学校でこんな事を言っていた。


「今度学校で世界的に人気のVRゲーム、ワルオンで修学旅行をします」

 修学旅行に行きたいか、行きたくないかアンケートで8割の生徒が行きたくないと答えた。その答えを見た教師たちは、声すら出ていなかった。

 しかし学校側としても費用は集めていた。一時は各家庭に返そうと思っていたが、いいタイミングでワルオンが発売された。


「ちなみにワルオン持ってる人?」

 咲は当然のように手を挙げる。

 周りを見ると数人ほどが手を挙げていた。


「持ってない人は学校側で用意してあります。えーと既に自分のがある人は持ってきたら必ずロッカーへ」


 ワルオンのフルセットは新品で定価7万9800円もする。

 もし学校で盗まれたという盗難事件でも発生すれば、親が学校に駆け込んで抗議してくるだろう。

 しかしそのような場合は、学校が全て悪いわけではない。

 学校まで持っていいのを許したのは親であるから。


「当店オススメ ハニートースト出来立てです~!」

 一日200食限定のハニトースト。

 ナイフを入れた瞬間に蜂蜜がトロリと流れてくるのが売れ、今では超大人気商品になった。

 しかも今日オープンしたのにこの人気さ。ハニトーストの力恐るべし。


「うみゃい……、とろける………」

 ハニトーストを口に入れると、自然と笑みが溢れ、幸せそうな顔をした。


 数量限定のハニトーストは450Gもしたが、これだけ幸せになれるなら払う価値はある。

 お知らせにもあった通り、今日から三日間『経験値&ゴールド取得増加』アイテムが全プレイヤーに無償で使えるようにしてくれたみたいだ。

 キャンペーン中だからなのか、今日はプレイヤー人口がいつもより多い。

 このキャンペーン中にレベルを上げてお金を沢山稼ぐ人もいるだろう。

 ちなみに学校でワルオンをプレイする時、このキャンペーン終わっている。


「テイオウさんだ!」

 店の外でプレイヤー達が騒いでいる。

 どうやらワルオンでの有名人が現れたらしい。一人現れただけでこの盛り上がり。よっぽど凄い人なのか。

 私にはただ装備がすごい人しか見えなかった。


「すみません……、テイオウさんって?」

 近くにいた男性に聞いてみることにした。すると驚かれた。


「あんたVRMMOゲーム初心者か」

「というよりゲーム自体初めてです」

「テイオウさんは日本ランキング2位、世界ランキング19位の凄い人だ!」

「どうも」


 (ワルオンって三日間であんなに強くなれるんだね)


「そうだランキング……」

 メニューを開き、ランキングを押す。

 今日からランキングを見ることが出来る。

 ランキングを見れば詳しい事が分かるかもしれない。

 上にスクロールすると、ランキングにはちゃんと詳しい事が載っていた。


「え……、すご……」

 プレイヤー名:テイオウ。

 総プレイ時間:79時間。

 レベルは175Lv。

 

 ワルオンのMAXレベルは999。

 レベルが一番最初にカンストした人には称号がもらえる。

 運営が言っていた通りだと、999にするには最低でも二年は掛かる。

 今までに倒したボスの数は、27体。それも26体をソロで倒しているというやばい人である。

 残りの一体はあくびしてたら飛ばされた。

 もはや理由が普通では無い。


「テイオウさんはワルオン楽しいですか?」

「そうだな。今までやってきたVRMMOゲームの中ではトップと言っていいほど楽しい」

「ゴールドってどれくらいあるんですか!?」

「軽く7桁は超えている」


 (テイオウさんでもまだ100万くらいしか貯まっていないのか。そうなると私のお金が貯まるのはまだまだ先は長そうだ)



「私もレベル上げしてこよっと」

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