第184話 愛の戦士 ランスロット
畑に放置された
藁を使って
九王バド・マーディガンの仕業だと思っていたが、どうやら猫とその仲間の手によるものだったらしい。
「なるほど、なかなかに面白い話ではあった。懐かしくもあるしな。で、それと今の主の状況に、どういった関連があるのだろうな」
ゴミ捨て場に捨ててあった鳥かごを利用して、自宅の脱衣所に簡単な罠を仕掛けた。お風呂場にいると、誰かに
「よもや真・魔王城で取り交わした条約を忘れたわけではあるまい。オ・カァサン及びイ・モウトゥに手を出そうとしたら、問答無用で去勢する。おぬしは勿論、お主の出来損ないの弟子である光の愚者も了承したことだ。言い訳は認めんぞ」
「
針を使って、細い
「心配せずとも手術代は主の阿呆弟子に請求する。檻の中でゆっくりと回想に
暴れまくる猫を後目に、罠を仕掛けた脱衣所から出て自室に戻った。これからスマホで阿呆勇者に連絡し、ねちねちと文句を垂れて手術代を請求する。考えただけで顔がニヤけてくる。
「まぁ、そんなところでどうしたのランちゃん。かわいそうに」
階下から声がした。オ・カァサンだ。いつもより帰りが早い。
「今出してあげるからねランちゃん。隆、あんたなの?こんないたずらしたの」
「出すな。そやつは猫じゃない。敵だ。逃がすな」
怒鳴りながら階段を駆け下りたが、遅かった。
「くそっ。わしとしたことが・・・・・」
今になって気がついた。今朝出かける際に、今日は早く帰るとオ・カァサンは言っていた。白猫はその言葉を聞いて知っていた。捕らえられ、自力での脱出が不可能だと判断した猫は、オ・カァサンによる救出に
檻から出た白猫が、目を細めて体をオ・カァサンに
「まぁまぁランちゃんたら。よっぽど怖かったのね」
そりゃあ怖かったろう。だがここまでだった。白猫は二度と罠にはかからない。
左右異なる色をした目を見開き、白猫がこちらを
「ふん。せいぜいオ・カァサンに感謝することだな、三賢者が一人、剣聖ランスロットよ」
猫の体から殺気が消えた。むしろその方が不気味だった。
音も無く床に降り立つと、猫は廊下を走り窓から外へと姿を消した。仕方ない。明日職場で南条を見つけたら、猫の
とりあえず今日は、夕飯食べてアニメ見て寝る。呪言を彫る作業のせいで、しばらく十分な睡眠を取っていなかったから、今はもうとにかく眠くて仕方がなかった。
完
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