第15話 盾
「なんだ、お前。鬼太郎か?」
赤髪が南条を見て喚いた。袖無しの縞模様の
「で、お前なんなの?妖怪退治?」
マシンガンが笑ったことに気を良くしたのか、赤髪が続ける。
「子供だな」
南条が
「ひとつ
南条が赤髪に声を掛けた。
「ねこ娘なら昨日
赤髪の答えに、サブマシンガンが
「きみたちは、なぜ逃げないんだ?」
南条の問いに、赤髪とサブマシンガン女の笑い声が
「金が目的なら、逃げればいい。こんなところで戦いを始めることに意味はない。増援の部隊が駆けつける前に、なぜ逃げ出さないんだ?」
「なぜって」
赤髪の
「妙な気分だ」
南条が赤髪から顔を背けながら
「きみたちを見ていると、魔王から精神支配を受けた人たちを思い出す」
奈緒は南条の言動の全てを、
「お前、なんなんだよ。頭イカれてるのか?」
赤髪がショットガンの銃口を南条に向ける。
「感情の
「うるせぇよ、お前。もう死にな。おやすみ」
伏せてと叫んだ奈緒の声が、
次に響いたのはショットガンの銃声だった。赤髪は南条に向けてショットガンの引き金を引いた。
至近距離から、バックショットと呼ばれる
出血はどこにも無かった。南条も立っている。
南条はその手に、丸い円盤を持っていた。
あの盾はどこから現れたのか?南条の言葉通り、南条は異世界からの転生者で、何か特別な力で盾を取り出したのだと奈緒は信じかけた。だがその考えは、南条が手にした盾の表面に描かれたイラストを目にしたことで
「マンホール」
思わず口にしてから、奈緒は南条の足元に目を向けた。南条の足元、アスファルト道路の一部に丸い穴が空いていた。強い踏み込みで振動を起こし、マンホールのフタを浮き上がらせてキャッチし、盾としてショットガンの銃弾を防いだ。不意に現れたのは魔法の盾でもなんでもなく、足元に埋まっていたマンホールのフタだった。
「てめぇ」
喚いた赤髪が再びショットガンを構えた。だが、南条はすでに赤髪の目の前に移動し、両手で持ったフタで赤髪の横っツラを叩いた。一撃で
「あきちゃん!」
倒れた赤髪に向かってマシンガン女が叫んだ。銃口を向けようとしたマシンガン女の腹に、南条が投げたマンホールのフタが直撃した。体をくの字に曲げ、マシンガン女が
「信じられない」
目の前で起きた光景だが、奈緒は自分の見たものが信じられなかった。地下から水が溢れ出た場合を
奈緒は、マンホールのすぐ脇に足跡がついているのを見つけた。アスファルトに
機捜では、犯罪現場に残る犯人の足跡を見つけ保持する関係上、
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