第2話 魔王
勇者は
勇者が詠唱し始めたのは、自身の体に受ける
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体を地面と平行に保ったまま、勇者は左手を突き出した。
「フロガエクリクシーィィ」
叫びと同時に、
錬成した火球は、
勇者は
激突の衝撃の
勇者が立ち上がった先に、岩石で作り上げた巨大な
玉座には
「あそこから落ちてきたのか」
「飛翔系の魔法や、
老人は
「
「魔王か?」
唇から
老人は答えず、ただ勇者を見つめている。
「もう一度問う。魔王か?」
勇者は左右の腰に差した
「
うれしそうに
「返事がなければ魔王とみなす。ご老人、よろしいか?」
「せわしいの。会話を楽しむ
笑みを浮かべたまま、老人が玉座から立ち上がる。
「わしが魔王だとしたら、主はわしをどうする気だ?その
「魔物の
「それは
「百を
「これ以上の
「本気でいってるのか?」
勇者は二振りの刀を
「本気だ」
老人は目を伏せ、何かを考えるように
「本気でいっているのなら」
顔を上げた老人の
「貴様は大馬鹿だ」
老人がそう告げると、広大な空間を持つ魔王城の天井の一部が
「わしからも
地上に降りた勇者は、強大な影を避けようと瓦礫の山を
六首オオカミの突進に合わせて、勇者の体が
斬り落とされたオオカミの首から、新たな頭が生え始めていた。傷の再生速度は速く、新たに生えてきたオオカミの首はすぐに体になじみ、他の五つとの見分けがつかなくなった。
「フロガ・ヴェーロス!」
突き出した勇者の左手から無数の炎の矢が放たれ、六首オオカミを
両手に下げた刀が、異なる輝きを帯びていく。左手に下げた刃は赤く、右手のそれは青く輝き始めていた。
「バフゴロスガ・エエククリリククシシーー」
バゴス・エクリクシーとフロガ・エクリクシー。
右に構えた
勇者が
「
宙に浮いて勇者を見ていた魔王が、
「人の身であれを喰らっては、ひとたまりもなかろう」
冷たい笑みを浮かべた魔王は、瓦礫の山へ落下していく勇者を目で追った。
「たわいない。あれが勇者とはの」
瓦礫の山に
巨大な女の顔が薄ら笑いを浮かべ、魔王を見る。魔王が女の顔に
「終わったの。あとは人間共を
魔王はため息をつくと、勇者の姿が消えた瓦礫の山に向けて
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