tokyo 転生者
氷川 瑠衣
序章 最終決戦
第1話 龍の背
勇者は龍の背に乗り、空を飛んでいた。
黄金の龍は、ボルサール
「見えて来たぞ」
金龍が声を上げた。
勇者と金龍の前方に、巨大な城が見えた。奇怪なオブジェの集合体のように見える城は、全体が赤く染まっていて、城全体が流血しているように見えた。城が
「なぜ城が浮いている?」
勇者が疑問を口にした。
「さあな。魔王の力なのか、城自体にそういう仕掛けが施されてるのか。いずれにせよ、行ってみなければわからんな」
「そうか。五百年生きていても知らないことがあるのだな」
勇者の言葉に、黄金の龍の鼻息が荒くなる。
「口に気をつけろ、小僧。振り落とすぞ」
「落とさずとも、もうじき降りる」
勇者と金龍の口元に笑みが浮かぶ。
「面白いやつだ。あの城を見て恐怖を感じぬか」
「いいや、怖いな。体が震えている」
「震えてのは寒さのせいだ。さっきからお前の震えがおれの背に伝わってきている」
「そうなのか?わたしはてっきり怖くて震えているのだと思っていた」
「雲の上に出てから、おまえはずっと震えておるわ」
金龍が豪快に笑う。つられて勇者も声を上げて笑った。
「来るぞ」
魔王城の上空に、雨雲のような黒い
「サラマンダー。凄まじい数だ」
黒蛇にコウモリの羽を付け足したとしか思えない
魔王は千を超えるサラマンダーを自身の
サラマンダーの群れは、接近する
「
「凄い数だな。大丈夫か?」
金龍の首筋に移動してきた勇者が龍の耳元で叫ぶ。
「手こずるようなら手を貸す。
「何を言わせたい?お前ごとき人間に、龍の王たるこのおれが助けを求めるとでも思ったか?」
「そうか。だったら任せる」
何事も無かったように、勇者は金龍の首筋に腰を下ろし、
「速度を上げる。落ちるなよ」
サラマンダーの一匹が、首筋に胡坐をかく勇者に向けて
「
勇者の
「退屈しのぎになったであろう?」
全身を
「おれの体毛を
金龍の首筋に生える、
金龍の全身に
勇者は
龍が放った閃光の
「
「体内の水分を
「凄まじい技だ。でもどうしてわたしは生きている?」
「おれの
勇者は左手で掴んでいる金色の体毛を見つめた。
「便利なものだな。一本
「
軽口を叩いていられたのはそこまでだった。魔王城上空で
「さっきのあれ、もう一度
立ち上がりながら勇者が
「当たり前だ。何度でもやれるぞ」
「そうか。なら、魔王城の上空に
閃光を放ったあと、金龍の飛行速度が
「わたしが撃てといったら、わたしに構わず撃ってくれ。頼んだぞ」
「おれから離れたら、お前も
「お前の言葉を信じるなら、わたしは大丈夫だ」
掴んだ龍の
「
「
そういうと勇者は、龍の顔から空中へと
魔王城上空に滞留していたサラマンダーは二百を超えていた。勇者は
背から背へ飛び移る勇者のせいで、
「そろそろだな」
サラマンダーの背を走りながら、勇者は
「龍の王、
声を限りに叫ぶと、勇者はサラマンダーの背から何もない空中へと跳んだ。
落ちていく勇者目掛けて、凄まじい数のサラマンダーが襲い掛かってくる。ガチガチと
再び
「ありがとう。助かった」
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