第5話 スマホ教室

父と母は、毎回同じタイミングで同じ機種の携帯に買い替える。


なぜかって。

同じ機種なら、何かと助け合えるからと。


なるほどなるほど。


最近、ふたりで格安スマホにのりかえた。

どうしてかというと、


私が「こっちにすれば毎月の携帯代だいぶ安くなるよ。」と言ったところ

「そう。じゃあそれで。」の一言で決まった。



そうして動くことになった私は、ネットを駆使して、

携帯を2台注文し、ネットで契約を2台分した。ちなみに同じ機種の色違い(赤と黒)にした。


そして家に新しい携帯が到着すると、2台の引継ぎ作業をし、さらに古い携帯を売りに行き、その代金を渡した。



よくやった。

携帯会社の人みたいじゃないか。


でも、ここからが問題だ。


ふたりのスマホ使い方講座をすることになった。

なんせ、電源の入れ方、充電の仕方、そこからだ・・・。


電話のかけ方、メールの仕方、説明したときは出来るのだが翌日になると

「これ、どうすんのよ?」

と、なる。


数日、同じ部屋にいるのにメールを送り合い(練習の為)

わざわざ隣に部屋に行き、電話のかけ合いをした(練習の為)


しかも、父と私、次は母と私。順番に。

ふたりは至って真剣だが、なんだか面白い光景だった。



電話、メール、LINE、写真など、基本のことがまずできればと思っていると

「これはどうするんだ?」

父は突然、電話帳のプロフィールに写真を入れたいらしくスマホ教室が横にそれる。


「なになに?それやりたい!」

そうすると母も真似をして写真のいれ方を聞いてくる。


おーい!今メールの送り方をやってたのに!笑


そんなこんなでスマホ教室は行われた。



世の中は、新しいもの新しいものへと次々に変わっていく。

機械もシステムもネットも人も。


良いのか悪いのかはおいておいて、変わっていくものについていかないと置いていかれる。



父と母は「分からないよー」「でも分からないって言ってられないよー」と、

言いながら新しいものに挑戦しようとしている。



私も年を重ねてもそうやって、新しいものを毛嫌いしないで受け入れたい。



数か月が経った。


「このメールなに?」

「アップデートって書いてあるよ、どうすんの?」

「削除ってどうやるの?」

「電話の音が小さいんだけど」

「写真撮ったんだけど、どこに保存されたの?」

などなど


まだ毎週?いや、月に何回かは電話やメールで質問が多数くる。



絶賛、遠隔スマホ教室、開催中である。



終。








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