第35話 デートプランを考えよう

 かのんとデートすることが決まった。

 という訳で、これからデートプランを考えるのだが、大雅にも手伝ってもらうことにした。


「大雅が焚きつけたんだから、俺のデートプランを一緒に考えてもらうぞ?」


「はぁ… 仕方がないな。確かにデートを焚きつけたのは俺だしな」


 大雅は面倒くさそうな顔をしながら、頼んでいたアイスカフェラテを一口飲んだ。


「それで、大雅的にはどこがオススメとかある?」


「そうだな… 初デートと言えば、水族館とか遊園地らへんになるな」


「水族館か… 付き合う前に一緒に行ったな…」


 かのんと初メールをした日にいきなり誘われたんだよな。

 まさか、デートスポットの水族館になるとは思わなかったけど。


「まぁ、お二人さんは付き合う前から付き合っているような距離感だったもんな。水族館行くのも何となくだが、分かるわ」


「うっ… そこは分かられたくないような…」


「そうなると、水族館はダメだよな。残された選択肢は遊園地か街ブラとかしか」


「街ブラか… 渋谷や原宿を歩くのもいいな」


「そうだな。遊園地とか行くなら、俺たちを誘ってダブルデートの方がいいもんな」


 大雅は、俺の顔を見ながらニヤニヤしている。


(別にお前とは行きたいとは思わないけどな)


 俺は、頼んでいたアイスティーを一口飲む。


「とりあえず、街ブラにしようかな。付き合ってから初めてのデートだし、ここは慎重にな」


「慎重すぎるのもどうかと思うぞ。もっと、こう、気楽に行こうぜ!って感じに」


「それはお前が気楽すぎるんだよ。楠山さんが、大雅とやっていけるのが凄い」


「なんか、いま、俺のことを馬鹿にして、杏奈のことを褒めただろ」


「そこが気になるのかよ!」


 変なところで突っ込みを入れてきたので、俺は苦笑いしながら呟いた。


「とりあえず、街ブラするでいいんだな?」


「あぁ、かのんは初デートで街ブラは嫌かな…?」


「知らん。俺に聞くな。当日に誠心誠意で考えたことでも伝えとけ」


「……そうだな。うん、そうするよ」


「それじゃあ、第一回デートプランを考えようは終了でいいか?」


 そう言いながら、大雅はメニュー表を手に取り、中を見たそうにしていた。


(第一回って… それに飽きてきたなこいつ)


 はぁ… とため息をつき、俺はコクリと頷いた。


「よしゃ、じゃあ、何か頼もうぜ」


「はいはい。相談乗ってくれてありがとな」


「いいってことよ!」


 それから俺と大雅はケーキを頼み、小一時間ほど滞在していた。


XXX


side かのん


 かのんは自室のベッドで横になっていた。

 今日は振替休日で休みなのだが、特に用事がなかったのでずっと少女漫画を読んでいた。


「うふふ… 奏風先輩とデート… しかも、付き合った記念でのデート… 奏風先輩可愛すぎます」


 ベッドに置いてあるイルカの抱き枕に抱きつきながらゴロゴロした。


 かのんも付き合った記念でどこか出掛けたいと思っていたのだが、自分から誘う勇気がなかなか出なかった。

 今までの彼女ならアタック出来たことが、付き合った瞬間から恥ずかしくなってしまった。


(私から誘いたい気持ちもあるし、次こそは…!)


 そう決意したかのんは、枕元に置いてある携帯を手に取り開いた。


「それにしても、デートですか。奏風先輩はどこに連れて行ってくれるのでしょうか。私の推測では…」


 かのんは起き上がり、壁に背をつけながら腕を組んだ。


 どうやら、彼女の推理が始まったようだ。


「水族館… はないね。先輩は一度行ったところを初デートに使わないはず… それじゃあ、遊園地とか… 私的には行きたいけど、早いとか言って候補から外しそうですね」


 かのんの推理は概ね合っていた。


 奏風が聞いたら、『超能力者か?!』とか言いそうなほど。


「残される可能性は… 一つしかないね。街ブラだ。うふふ… 奏風先輩らしい考え方ですね」


 かのんは結論が出たのでベッドから起き上がり、机の上にあった卓上カレンダーのデート日にハートマークを付けた。


「これでデートプラン当たったら、私、名探偵になれるのでは?」


 そんなことを思いながら、改めてベッドに戻り、少女漫画を読み進めた。

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他の男子には興味がない後輩は、俺にだけ甘えてくる 夕霧蒼 @TTasuki

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