第34話 親友に報告
「えっと、俺、かのんと付き合う事になりました」
俺は文化祭の振替休日を使って、大雅と喫茶店で話をしていた。
話の内容は俺がかのんと付き合ったことだ。
ほんとは大雅に話さなくてもいいと思ったんだが、かのんが楠山さんに伝えたと言っていたので仕方がなく伝える事にした。
「うん、知ってる。てか、杏奈経由で聞いたし、その場で告白のシーンも見てたしな」
「………えっ?」
あの現場に大雅がいただと…?
杏奈経由で聞いたのは納得するけど、俺の告白のシーンを見られていた…?
段々と顔が熱くなってきた。
「そりゃ、俺が教えた伝説だから見ないと損だろ」
「他人の告白シーンを見てて面白いのか?」
「他人のではなく、友達の告白のシーンだから見るのが楽しいんだろ」
「最低な野郎だな」
俺は冷たい目線を大雅に向けた。
「そんな冷たい目線を向けるなよ。俺、なんだか泣きたくなるだろ」
「勝手に泣いてろよ」
「ひどい…」
俺は一息溜息を吐き、口を開いた。
「まぁ、そーいう訳だから報告は以上です」
「いつもの通りのスルーですか。はい、分かりました」
「大雅こそ、俺の話を簡単に受け流す時あるじゃん」
「お互い様だな」
俺は顔を引き攣りながら、「そうだな」と言った。
「それで、かのんちゃんと付き合ってから初めてのデートは考えているのか?」
「全く考えてない… しかも、あれからかのんと連絡する取れてない」
「はぁ?付き合ってるのに、連絡できてないの!?ダメだろ」
だって、仕方がないだろ。
いざ付き合ったら、なんだか恥ずかしくて連絡ができないんだし…
それに、かのんからも連絡来ないって事は、お互いに同じ気持ちになっているのかもしれないし。
「恥ずかしいんだよ。それに、かのんだって同じ気持ちだろうし」
「そんな事はないと思うけどな。実際、杏奈にはかなりメールきているらしいし。奏風とどんな事をしたいとか、とにかく妄想が凄いらしい」
「マジか。それは、俺の想像を超えているわ」
「だかさ、奏風からメール送れば返信来ると思うぞ」
「だけどな…」
俺はスマホを取り、画面を眺めた。
「仕方がないな〜 俺が一肌脱いでやろう」
そう言うと、大雅は俺からスマホを取り何かを打ち始めた。
そして一人でニヤニヤしながらどんどん指を動かし、頷くと俺の方を向いてスマホを返してきた。
「これでかのんちゃんから返信くるはずだ」
「お前何勝手にやっているんだよ!?」
俺は返されたスマホを見た。
そこには『付き合った記念でどこかにデートしない?』と書かれていた。
「ほら、既読付いたぞ」
大雅に言われて画面に目を向けると、確かに既読の文字が付いていた。
そして既読が付き、数分で返信がきた。
『デート!したいです!!奏風先輩大好きです』
「なっ!こーゆうのは早めにメールするべきなんだよ」
「あぁ… 何となくだけど、大雅の言ってる事を理解できた気がするよ」
まぁ、理解はしたくないんだがな。
それでも、かのんと出掛ける約束が出来たのは大雅のおかげだし、一応感謝を伝えるか。
「大雅、ありがとな」
「気にするなよ!それより、かのんちゃんとのデートを考えないとな!」
「そうだな」
俺はデートプランを考える事にした。
とりあえず、大雅には最後まで付き合ってもらうか。
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