第26話 困った時は大雅?

「え〜、先日決めた男装女装カフェについてだが文実の二人との意見交換の末、全員が着替えることになった。理由としては、やらない人がいるのは不公平だと意見を多数きたからだ」


 楠山さんの文化祭に行ってから二日経った月曜日。朝のホームルームにて大雅の言った通りになって、空いた口が塞がらないでいた。

 

 クラスのメンバーはと言うと、やる気があるものは納得した様子で首肯しており、反対派の特に料理担当になった人達は凄い形相で睨みながら反論している。


「私、料理担当になれば男装しなくていいと聞いたので賛成しましたけど、全員やるとなると話は変わると思います」


「俺も女装とかやりたくないわー」


「だよねー」


 何人かが一気に話すから先生困ってるじゃん。

 文実なんか、見て見ぬふりしてるし。

 いや、実行委員よ頑張ってまとめてくれよ。


「もう一度、出し物を決め直したいです!」


 反対派の一人が決め直しを求めたが…


「無理だ。もう、承認されたから変更は不可能だ」


 先生の一言で無理だと伝えられた。


 まぁ、今変更できたら他のクラスまでも便乗してきそうだし無理なのは当然だよな。

 それよりも話が終わりそうにないのだが、大雅さんよまた演説してくれないかな。


 そう思いながら、大雅の方をチラリと見る。


 大雅は俺の視線に気がついたらしく、ウインクで返答してきた。


 何故、ウインクなんだ…

 そこは、手を振るとかグットサインでよくね?

 とりあえず大雅、何とかしてくれ!


 と、強めの目線で訴える。


 俺の言いたい事が伝わったのか、大雅は首肯したがチャイムが鳴り一旦話し合いは中断となった。



 お昼休みになり、かのんと大雅の三人で昼食を食べていた。


「朝の殺伐とした空気が、またやって来るのを思うと気が重い…」


「どうしたのですかー?」


 何も知らないかのんが首を傾げながら聞いてきた。

 俺はかのんに今朝あった出来事を詳しく伝えた。


「実は、この前大雅が全員男装や女装になるって言って話覚えてる?」


「はい」


「それが本当の話になって、反対派の人達が反論してきたんだけど…特に料理担当がうるさくてね。更に、出し物を決め直したいですって言ったら先生がもう無理の一言で空気が重くなったよね」


「あれはもう、やばかったね」


 大雅が横から笑いながら言ってきた。

 笑い事じゃ無いだろと思いながら、大雅に視線を向ける。


「てことで、大雅よろしくな」


「あー、出来る限り頑張るわ。無理だったら奏風巻き込む」


「巻き込むのはやめてくれ…」


 俺が溜息を吐きながら伝えると、かのんは何故かニコニコしながら話を聞いていた。


「私は何も出来ませんが、頑張ってください!」


「「頑張ります」」


 それから、かのんは教室に戻りそれと同時にチャイムが鳴った。


 五、六時間目の授業が終わり、ホームルームで今朝の続きが行われた。


 案の定、反対派の反論が大きかった。

 そこで立ち上がったのが大雅だ。


「はいはい、文実の人が話せなさそうなので俺が代わりに進行しましょう。先生もいいですか?」


 その質問に対して、先生と文実の二人まで首肯した。


「私は思いました。反対派の皆さんは女装や男装が嫌だと言いましたね?なら、女装と男装は反対派以外がやる事にして、反対派の人は男ならスーツを着て女子はメイド服で我慢しませんか?」


 この提案にまた何かうるさくなるんだろうと思ってたら、意外と反応が良かった。


「あそこの奏風くんですら、女装をやるそうなので文句はないですよね?」


「おい、無理では無いのに強制的に巻き込むな」って感じの意味を込めながら大我を睨む。


 だが、その一言で何故か話がまとまり落ち着いたのだった。


 先生と文実の二人も安心した雰囲気を出していた。

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