第23話 陽だまりの女王

「映像系ってどんな作品をやるんだ?」


 俺と大雅はかのんのクラスの出し物を聞いていた。

 そして、映像と聞いた時にどんな作品を作るのか気になって聞き返していた。


「一部のクラス内で有志を募り、そのメンバーで作るみたいですよ。で、動画に出ない人は準備をする感じです。当日の受付に関しては、全員参加なのでこちらの方は問題ありません」


「なるほど。かのんはその動画には出ないのか?」


「私が出たらそれこそ、大雪ものですよ?しかも私はこれ以上目立ちたくないので、出ない一択でしたね」


「それを納得させたかのんが凄いな」


 かのんは指でバツを作りながら、俺の顔の近くに寄せてきた。

 一方、大雅はかのんの話を聞きながら「そっか…かのんちゃん出ないのね」と呟き、「まぁ、確かにかのんちゃんは奏風以外には興味ないから動画に出ても意味ないか」と自己完結していた。


 俺はその言葉を聞いて、楠山さんに聞かれてたら前者の言葉はグーパンが飛んでくる案件な気がするなと思った。


「私は最近、クラスの人達から〝氷結の女王〟と呼ばれる存在になりましたので、威圧で納得させました」


「氷結の女王…。なんか、凄いな。俺の前だと氷結って言うより〝陽だまりの女王〟な感じだから想像ができないな」


「確かに。でも、奏風は知らないかもだけどかのんちゃんって氷の女王って二つ名が元々あり、それの上位互換にレベルが上がった感じだな。俺は奏風達と行動してるから、かのんちゃんのイメージは奏風と同じかな」


 俺が〝陽だまりの女王〟と呟いた時、かのんは頬を赤く染めながら少しだけ俯いていた。

 だけど、俯いてたのはほんの僅かで大雅の二つ名の話になった瞬間睨みつけていた。

 その後、大雅自身のかのんのイメージを伝えてその場を乗り切っていた。


「と、とりあえず、文化祭が近づいてきて楽しみだな」


 俺は重くなった空気をリセットする為に新たな話題を振る事にした。


「そうですね!奏風先輩と一緒に回るの私も楽しみです!」


「俺も杏奈と回るから、学校内案内しないとだ〜」


 かのんが一緒に回る事を楽しみにしてくれて、俺は嬉しくなった。


「杏奈ちゃんが私達の学校に来るのですかー!」


 大雅の楠山さんと回る発言にかのんが食い付いた。

 かのんは楠山さんの事はかなり好きだから、通っている学校に来てくれるのは嬉しい気持ちは分かる。


「じゃあ、文化祭の日程は被ってないんだ?」


 俺が大雅にそう聞くと、何故かサムズアップしてきた。

 いやほんとに、なんでサムズアップなんだよ。


 そんな事を思っていたら、かのんがとある提案をしてきた。


「奏風先輩!杏奈ちゃんの学校の文化祭を見に行きませんか?」


「因みに、楠山さんの文化祭はいつ?」


 俺はかのんの提案を聞いたのち、大雅の方を向き開催日を聞いた。


「今週の土日だ!」


 俺達の開催日の一週間前だと思っていたら、今週だった事に驚いた。

 でも、今週はどうせ予定なかったので俺は改めてかのんの方を向いた。


「うん、大丈夫だよ!楠山さんの文化祭見に行こうかのん」


「やったー!!じゃあ、何時頃集合し…って思ってたけど杏奈ちゃんの学校が分からないので大雅先輩案内お願いします」


「行き方教えるから、二人で行きなよ〜。俺は先に杏奈の所に向かうからさ」


「じゃあ大雅、俺のメールに後で住所頼む」


「わかったよ」


 俺は後で、楠山さんの学校の行き方を送ってもらう事になった。

 かのんもそれでいいと首肯した。

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