第22話 文化祭の出し物決め
「それでは、このクラスの文化祭の出し物を決めたいと思います。皆さん、候補をどんどん言ってください。その後、多数決などをして決めたいと思います」
今、教壇に立っているのは二週間後に開催される文化祭でこのクラスの委員になった男女二人。
この午後の二時間を使って出し物を決める事になった。
えっ?俺はなんの委員会に入っているのか?
それは勿論、入る訳がない。
委員会に入ったら、それだけで帰る時間が遅くなる。
まぁ、その話は終わりとして今は文化祭だ。
俺がどこの誰かに聞かれた質問に返答している間にも、候補がどんどん出てくる。
「お化け屋敷」
「バカッコイイ」
「懐かしき給食スパゲティー」
「駄菓子を売りながら作った映像を見せる」
「メイド喫茶」
「執事喫茶」
「男装女装カフェ」
おいおい、どれもマニアックすぎないか?
俺は思わず苦笑いしてしまった。
お化け屋敷は分かるぞ。
その後の三つも出来なくはないけど…最後の三つがよく分からない!!!
俺が疑問に思っていた事は他のメンバーも思っていたらしい。
特に〝メイド喫茶〟に関しては、女子から「私利私欲の為しかないだろ!!!」って感じに〝執事喫茶〟の方は男子が「そっちこそ、私利私欲だろ!!」と叫んでいる。
そこで、パチンと手を叩く音が聞こえた。
「メイド喫茶も執事喫茶もそんなに嫌なのに、誰も男装女装カフェの事は言わないって事は、皆はそれには賛成って事でいいんだね?」
その声が聞こえる方を向くと大雅がいた。
大雅が意見を言うと、周りは一斉に静まり揉めていた人達も落ち着いて座り直している。
そこへまた大雅が一言。
「だから、俺たちのクラスは男装女装カフェでいいよな?料理は得意な人に頼むからその人は免除されるとして、まぁ、メイド喫茶や執事喫茶やりたいって言ってた人は半強制でやってもらうしかないよな〜そう思いませんか文実の委員さん」
大雅は自分の意見を少し言うと、文化祭実行委員に残りの事を任せて座った。
大雅悪い顔をしている。
絶対に敵を作っているよ。
俺は絶対に関わりたくないぞ。女装しろって言われたら、少しは考えさせてもらうけど揉め事には参加したかないからな!!
て、俺の方を見てくるなよー。
お前の敵が全て此方に向いてくるやろ。
「えー、それではこのクラスの出し物は男装女装カフェでよろしいでしょうか?」
俺の方を向いていた視線は、声を掛けてきた文実の男子に向いた。
そして、五分沈黙があったのち「仕方がない」って感じに皆が頷いた。
文化祭の出し物選びが終わり、放課後になった。
大雅は俺の前の席の椅子に座って話している。
「奏風の方に向いた時は面白かったな〜」
「面白くないよ。こっちはもう視線が怖くて天を仰ぐ事になりそうだったぞ」
「ははは。でも、男装女装カフェは面白そうだから一緒に女装やろうな!」
「…………」
「何その沈黙」
改めて大雅から女装やろうと言われても、俺には少し悩む所。
女装とか絶対に似合わないし、ただでさえ目立っているのにこれ以上目立ちたくない。
そして、やっぱり断ろうかと思った時、彼女は来てしまった。
「奏風先輩のクラスの出し物何になりました?あっ、大雅先輩いたんですか」
「あれ…?かのんちゃん、俺への挨拶がまた冷たくなってる気が…」
「そんな事ないですよー?」
教室に入ってくるなり、それはもう一直線に俺の所に来て挨拶に来た。
そして、目の前にいた大雅に気づくと冷たい視線をしながら挨拶をした。
流石にこれは大雅も応えたらしく、苦笑いしながら聞いていた。
それを簡単に何事も無かった様に返すのが、かのんクオリティーだと改めて思った。
「あー、それが俺たちのクラスは男装女装カフェになった」
「男装!女装!カフェ!!奏風先輩が女装ですか!!それはもう見るしかないじゃないですか!!私と回る時も女装のままですからね!」
「それな!奏風は女装やるしかないんだよ!かのんちゃんの為にも」
「ぐぬぬ…」
かのんのキラキラした目と横でうざいくらいに肩を叩いてくる親友。
「まぁ、どのみちクラス全員やる事になるから奏風諦めな」
「あれ?料理担当はやらないんじゃ?」
「あーそれね。多分、全員やる事になると思うよ。文実の二人が公平を保ち、先生がやるぞーってなると思うから」
「ほんとかよ」
「楽しみです!奏風先輩の女装!」
俺とかのんには聞こえて、周りには聞こえない程の小声でそう伝えてきた。
もう、真実は月曜日にならないと分からないから今は疑いの目を向けるしかなかった。
そして、俺の女装を見る事を楽しみにしているかのん…
勘弁してくれ…と思いながらかのんのクラスの事を聞いた。
「それで、かのんのクラスは何になったんだ?」
「私のクラスの出し物は映像系になりました」
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