第21話 二学期の始まり
夏休みが終わり、二学期が始まった。
俺は教室に着くなり目を疑った。
目の前には夏休みデビューをした同級生が何人かいて、自慢している。
「よぉ、月舘くん。この俺様の変貌はどうよ?」
教室を眺めていたら、話しかけてきた。
いや、あの…どうって言われても。
そもそも、お前誰だ?
俺と一学期の時、話した事なかったよな?
しかも、俺様キャラ…
そんな事を考えながら、精一杯の言葉を返した。
「うん。カッコいいと思うよ」
俺の言葉に満足でもしたのか、満面の笑みをして先程いた場所に戻っていった。
「奏風おはよー!朝から大変だな〜」
「おはよ。話した事ない人からの挨拶は大変だよ。そもそも、あんな奴いたか?」
「まぁ、奏風は俺以外とはあまり話してないし、かのんちゃんの事もあって皆近寄らない事が多いからな」
「かのんがいると近寄ってこないのか…?」
「そりゃあ、この学校の男子全員がかのんちゃんに話しかけても振り向かないまさに、氷の女王的存在。それなのに、奏風は普通に話している所か向こうから一方的に構ってきてる。まぁ、他にも理由はあるにはあるけど…これのどこに奏風に話しかけたいと思う?もはや、恨まれる存在だよ」
「まじか…」
大雅に言われるまで気づいていない訳ではなかったが、改めて指摘されるときついな。
まぁ、今のままでも楽しいし大雅もいるから何とかなるだろう。
俺は自己完結させた。
「それよりさ、九月と言ったら文化祭だな!」
それと同時に、大雅が新しい話題を振ってきた。
「確かに。もう文化祭の季節か〜。去年の思い出があまりないな」
「でも、今年はかのんちゃんと言うパートナーがいるじゃないですか〜旦那」
「何が旦那だよ。いるけど、かのんと時間合うとは限らないし」
「午前と午後のどちらかに合わせとけば大丈夫!」
「まぁ、かのんと話してみるか」
とりあえず、文化祭まで時間はあるから話をして決める事にした。
まぁ、かのんは俺に合わせて来るとは思うけどな。
「そー言えば、この文化祭には伝説があるらしいぞ」
「伝説?」
思わず、聞き返してしまった。
「それが、閉会の合図の時に非常階段で告白すると成功率が高く、それから結婚までしたカップルがいるらしいぞ」
「そうなんだ。それで、何で俺にこの話をしたんだ?」
「言わなくても分かるだろ鈍感くん」
何となく大雅の言いたい事は分かる。
俺にそろそろ覚悟を持てと言う話なんだろう。
だけど、話の振り方が悪いんだよな〜
「そうですな。でもなー」
キーン コーン カーン コーン
「あっ、チャイムが鳴ったわ。俺席に戻るからまた後でな!」
「おい!話は…。絶対にあとで一発お見舞いしてやる」
そう思いながら、俺は先生の方は耳を向けた。
放課後になり、かのんと待ち合わせをしていた。
それにしても、夏休み明けから実力テストは痛かった…
そんな時、かのんがやってきた。
「奏風先輩元気でしたかー?」
「実力テストがなければ、元気だったな」
「あはは…私も実力テストはちょっとやばかったです」
「だよな」
「はい」
俺の言葉に同調して、かのんも段々と声が小さくなってきた。
最後には、顔を俯いたまま返事をしていた。
「そー言えば、文化祭で担当するとしたら午前と午後どちらにするんだ?」
これ以上、暗くなるのは良くないと思い、話題を変える事にした。
「そーですね。やっぱり、午前の方がいいかなと思ってます。そうすれば午後は見て回れるかなと思い」
「なるほど。なら、俺も午前で仕事取れる様に頑張るよ。もしできたら、その…一緒に回らないか?」
俺は思い切って、誘ってみた。
勿論、断られる事はないとは思うが、俺自身が文化祭でもかのんと一緒にいたから内心ドキドキしている。
「いいですよ!それにしても、私より先に誘うなんて奏風先輩やりますね〜」
どうやら一緒に回ってくれるらしい。
それ以上に、かのんから誘おうと思っていたらしく、俺が誘った為か驚いた表情をした後ニヤニヤして言ってきた。
「まぁな。とりあえず、午前の部で仕事をやるのを忘れるなよ」
「わかりました!」
かのんは敬礼してから、微笑んで返事した。
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