第14話 海水浴④
「ごめーん!!かのんちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ、杏奈ちゃん。ちょっと、びっくりしちゃって…」
そう言って、かのんの所へ楠山さんが駆け寄って来た。
かのんは照れた顔を隠して、何事が無かったかのように振る舞っていたけど、横から見てた俺は少し痛そうな顔をしているように見えた。
「かのん、無理するなよ。少し休みたかったら一緒にビーチの所へ戻るけど?」
「全然大丈夫ですよ。逆にここで退場したら杏奈ちゃんに申し訳ないです」
俺がかのんに耳打ちして話しかけたら、かのんも俺に耳打ちして話してきた。
「さぁ、杏奈ちゃん!次は負けませんよ!!」
「私だって負けないよ!」
かのんがボールを楠山さんに突きつけて挑発したら、楠山さんも挑発にノッてきた。
「なぁ奏風」
「俺たちもあんな青春したいな」
何言ってるんだこいつと思った。
そこまで言うなら、楠山さんと力合わせて倒しにくればいいのに…
「青春したいなら、楠山さんと力合わせて俺とかのんを倒しに来い!」
「どうしたの?急に」
えー!?先に言ったのは大雅の方なのに、俺が変なこと言った雰囲気になってるし。
「もういいや、かのーん!二人で楠山さんチーム倒すぞ!!」
「奏風先輩!!私とても嬉しいです!!頑張って勝ちましょう!」
その言葉に俺は首肯して、かのんがいる方へと向かった?
大雅も頭を掻きながら、楠山さんの方へ行き両チーム準備ができた。
「奏風先輩、私たちがサーブです!作戦はどうしますか?」
「そうだな〜、サーブで大雅に狙って楠山さんに打たせない戦法を一度やってみるか」
「はい!」
かのんは目を輝かせて、俺の考えた戦法に賛同してくれた。
「お二人さーん、そろそろいいかな?」
「うん!大丈夫だよ」
楠山さんがあまりにも始まらないから、声掛けてきた。
そんなに時間は掛けてないけど作戦を考える時間を与えないようにしたんだろうきっと…
そして、かのんが高く上げてサーブをした。
ボールは狙い通り大雅の方へと向かって行き、アンダーハンドで大雅は受け止めた。
受け止めたボールは斜め上へと上がり、楠山さんは真下へと入った。
楠山さんの元へ来たボールをオーバーハンドパスをして、大雅がそれに合わせてアタックしてきた。
俺達の陣地は来たボールは、俺に向かって来た。
「かのん!!!」
それを難なく受け止めて、パスをする。
「奏風先輩、最後かっこよく決めてください!」
「任せろ!」
かのんから最高のパスを貰い、俺はその期待に応える為に力一杯飛んだ。
「大雅、行くぞ!!」
俺がアタックしたボールは大雅の方は飛んでいき、大雅は受け止めきれずに後ろへと倒れた。
「くそー!!受け止めきれなかったー杏奈ごめん」
「大丈夫だよ。私、大雅が受け止めてパスくれると思ってなかったから」
「えー」
楠山さん…なんて強い女なんだと思った。
だが、あの二人より今はかのんが優先だな。
俺はかのんの方を振り向いた。
「奏風先輩…カッコ良かったです」
「かのんのパスと応援のおかげかな!」
「当たり前じゃないですか!私の愛は無限大なんですから」
「それは凄いな」
少し答えるのに困って曖昧な感じになってしまった。
「そこのカップルさん達〜お昼食べよー」
後ろからずっと俺達の事を眺めていた菫姉が声を掛けてきた。
どうやらお昼の時間になっていたらしい。
「いつの間に、お昼になってたなんて!!」
「時間が経つの早いね〜」
「ビーチボール、一試合に時間掛けすぎなんだよ〜」
「とりあえず、菫姉の所へ向かおうぜ」
そんなこんなで、四人で菫姉がいるレジャーシートの場所へと戻った。
「さてと、四人とも戻って来たな。お昼は何にしたい?海の家まで行って食べるか、屋台で買ってきてここで食べるかだね」
お昼の選択肢を菫姉が言ってきた。
「そうだね〜。海の家もいいけど、屋台で買ってみんなでここで食べるのもいいな〜」
「私は杏奈ちゃんと同じでいいけど、奏風先輩はどうしますか?」
「俺もかのん達に合わせるよ」
売ってる物はどっちでも同じなので、基本的には女子達に任せてもいいかなって思っていた。
「男子達はほんと決断力がないね〜」
「いや…俺まだ一言も話してないんですけど…」
菫姉が大雅をほぼ無視した状態で話していて、少し笑ってしまった。
それを大雅に見られて、めちゃ睨まれた。
「もういいや、私が適当に買ってくるからここで待ってなさい」
菫姉は痺れを切らして、屋台に買いに行ってしまった。
数十分後…
「君たち待たせたねー。お待ちかねの昼食だぞ〜」
そう言って、菫姉が戻ってきた。
持っている袋には焼きそば・たこ焼き・ホットドッグ・ホタテなどがパックに入っていた。
「いや〜、並んでたらさナンパされちゃってさ〜追い払うのが大変だったよ」
「えっ!?大丈夫でしたか?」
「菫お姉ちゃん…私、心配です」
「菫姉ほんと気をつけてよ」
大雅以外の俺たち三人は菫姉の事を心配した。
大雅は何故か「俺が守ります」って言った後、楠山さんに耳を引っ張られてた。
「大丈夫!大丈夫!優しいおっちゃんが助けてくれたから!それよりも、折角買ったきたのに冷めちゃうから食べよ!」
そう言って、皆んなで分ける事にした。
焼きそばが三個でホットドッグが二個だが、焼きそばは一つ菫姉が食べるらしく各々二個ずつになる。
その為、じゃんけんで決める事にした。
結果は俺とかのんがホットドッグで大雅と楠山さんが焼きそばという結果なった。
たこ焼きとホタテは一人一個という感じに分けた。
昼食は十五分くらいで終わり、次のやる事を話していた。
「次は何やりますー?」
「そうだね〜砂埋めやってないしまだ泳いでもないんだよね」
かのんと楠山さんは楽しそうに話している。
俺と大雅もその中に加わった。
「杏奈、砂埋めは忘れようね!」
「かのんよ、海に来たらやる事は一つだろ!」
「「な、なんですか!!!」」
大雅の言葉に楠山さんが反応しようとした時に、俺がかのんに放った言葉が気になったらしく、目を輝かせて近づいてきた。
それに引けを取らず、俺は強気に返した。
「それは、スイカ割りです!!」
「「おぉ!!!」」
(二人とも反応良過ぎて、なんだか嬉しいな…)
「というわけで、菫姉、スイカお願いします」
「奏風は人使いが荒いな。まあ、スイカはここにあるんだけどね」
「おぉ!」
「「スイカーだ!!」」
菫姉は隠していたスイカを皆んなに見せた。
三人、特に女子二人は興奮していたが、スイカを運んだの俺だから、そこまで高揚感はこなかった。
「そーゆう訳で、スイカ割り対決をやるぞー!」
「「やりましょう!!」」
菫姉の掛け声と共にかのんと楠山さんはノリノリで賛成した。
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