第12話 海水浴②
男子更衣室に着いた俺たちは、さっそく着替えを始めた。
中に入るとロッカーが沢山並んでおり、100円で鍵を閉められるようになっていた。
俺と大雅はちょうど隣同士で使える場所を見つけたので、そこへ向かい着替えを始めた。
「大雅は結局、派手なのは辞めたんだな」
「奏風がダメって言ったから、ちゃんとした水着を選んで来たんだよ」
「まぁ、あの派手な水着はね…楠山さんも実際には見てないけど、伝えたら苦笑いしてたし」
水着を買いに行った日に大雅が別のを探しに行ってる間の事を話した。
「帰り道で杏奈が言ってたのはそーゆうことか」
「何かあったの?」
あの日の帰り道に何があったのか気になった俺は、大雅に聞き返した。
「いや、まぁ、そんなに深い意味とかはないけど…一言、「派手なのは今後辞めなよ」って言われた」
「ははは…楠山さんらしいね」
流石にこれに関しては返答に困ったので、苦笑いしながら誤魔化した。
「笑い事ではないんだけどな」
大雅は呆れながら俺に言ってきた。
「まぁ、終わった事は気にしないで、心機一転海を楽しもうぜ」
「そうだな。女子達の水着の感想頑張ろうな」
「そうでした…」
かのん達の水着の感想を待っているのを忘れてた訳ではない。ちょっと、記憶の隅に置いといただけで決して大雅に言われて思い出した事はない。
そして、この結果次第で砂浜に埋められるか埋められないかの結果が決まる。
大雅はどうあがいても埋められるみたいだけどな。
「さてと、女子達の所に向かいますか」
「待たせたら悪いもんな」
着替えを全てロッカーに入れて、お金を投入して鍵を閉めた。
鍵を閉めたか持ち手部分を掴み、何度かガチャガチャと扉を引いた。
確認が終わり俺は大雅と共に女子更衣室から見える位置へと移動した。
数分後、かのんの声が聞こえてきた。
「奏風先輩、お待たせしました!どうですか、私の水着は?」
来て早々に水着の感想か…頑張れ俺。
「そうだな〜、俺によく水着を見せてくれ」
「ど…どうぞじっくり見てください…」
かのんは俺が予想外の言葉をしたらしく顔を赤らめて、もじもじしながら見せてくれた。
ふむふむ。白のリボンデザインか。
正直に言って、可愛すぎる。
だが、これを口に出して言うのは恥ずかしいが…かのんを喜ばせたいから頑張るしかない。
「うん!とても似合ってるし、とても魅力的だよ」
「あ…ありがとうございます」
「それに、水着の試着してた時に可愛いなって思ってたから…また見れて嬉しいかな」
俺はあの時に言えなかった一言を頬を指で掻きながら、目線を少し外して伝えた。
「奏風先輩…ずるいです」
照れながらかのんが言ってきた。
「ずるいって何がだ?」
「いつもの先輩はそんな事言いません。何か裏がありますね」
今度は顔を近づけて、怪訝そうな顔をして言ってきた。
「そんな事はないぞ。本音で言ったからな」
「また、言ってくれますか?」
「うん…言ってあげる」
お互いに照れながら話していると、後ろから呼ばれる声が聞こえた。
「お二人さん、そろそろ行かないかい?」
菫姉である。
そーいえば、大雅と楠山さんはっと…
俺は2人の方を見ると何か言い合いをしてる様に見えたが、見なかった事にして呼ぶことにした。
「大雅、楠山さん移動するよ」
すると2人はこっちを向いて近づいて来て、楠山さんはかのんの方へと駆け寄った。
一方、大雅は俺の所へ来た。
「奏風、マジで助かったわ。杏奈の水着上手く褒められなくてさ」
「楠山さんの黒のハイネックビキニ、とても似合ってるからそのまま伝えなかったの?」
「少し盛って伝えました」
「余計な事を言わなければよかったのに」
「とりあえず、女子達が移動始めたから俺らも行こうぜ」
「だな」
大雅と話している間に女子達は海へと歩いていた。
俺たちも急いで女子達の元へと駆け寄り、みんなでビーチへ向かった。
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