第11話 海水浴①

 朝7時、俺とかのんと大雅と楠山さんは駅前にいた。


「奏風、お姉さんはどれくらいでこっちに来れそう?」


「えーっとね、もう来るって」


 姉は車の免許は持っていたが、車が無かったのでレンタカーを借りて現地集合する事になっていた。


「お待たせ〜。いや、ちょっと手続きに時間掛かってしまってね」


「菫お姉ちゃん!大丈夫ですよ!」


「おぉー!かのんちゃん、今日もかわいいね!」


「菫お姉ちゃんも可愛いよ!!」


 また始まった2人だけの空間が。

 今日は大雅と楠山さんもいるからやめてほしかった…


「菫姉、とりあえず行こうぜー」


「奏風、まだ紹介してない2人がそこにいるやろ?」


「車の中じゃダメなのか?」


「だーめ」


 これは菫姉に紹介しないと、一向に進まない気がするから仕方がない紹介するか。


「えーっと、こちらが俺の高校の親友の桜内大雅でこっちが大雅の彼女の楠山杏奈さん」


「初めまして。奏風の親友をしております、桜内大雅です!今日はよろしくお願いします」


「初めまして。大雅の彼女の楠山杏奈です。今日は車出していただきありがとうございます」


 俺が菫姉に2人を紹介したら、それぞれまた自己紹介を始めた。


「2人とも奏風とかのんちゃんから聞いてるよ!奏風の事これからもよろしくね」


「任せてください」


 大雅よ、俺は助けを求めた事あるが見て見ぬふりをしてたことあるよな。何が任せてくださいだよ。と思っていた。


「そして、杏奈ちゃんも可愛いね〜かのんちゃんと杏奈ちゃん、2人とも海に着いたら何か奢るね!」


「ほんとですかー!!!」


 楠山さんはその言葉に目を輝かせて喜んでいた。かのんも叫ぶ事はなかったが、腕を前にしてガッツポーズを取っていた。


「あの〜、そろそろ行きませんか?」


「うん?あっ、そうだな。じゃあ、車に乗って!」


 菫姉に促されるまま俺たちは車に乗り込んだ。


「では、目的地は海!みんな準備はいいかー?」


 その呼び声に、俺以外の3人は「YES!」と叫びその後に、「出発進行」と菫姉が続いた。


 海までの道のりは2つの県を跨ぐ為、朝が早かった事もありみんな車の中で寝ていた。

 俺は「海行く前から疲れてどうするんだって」思いながら3人を見ていた。


「奏風も眠たかったら寝ててもいいぞ?」


「いや、俺は大丈夫。菫姉が居眠り運転しないか見張る義務があるから」


「いやいや、自分だけならまだしも4人の命を預かってるようなものなんだから絶対に居眠り運転しないし」


「そうか。なら、菫姉は海ではあまり動かない方がいいね」


「なんで?」


「帰りも運転するから」


 これで菫姉が疲れて、帰り道に寝ようとしたら身の危険を感じる。まぁ、流石に大丈夫だと信じてるけど…


「えー、私もかのんちゃんと杏奈ちゃんと遊びたい〜」


「言っておくけど、楠山さんは大雅の彼女だからあまり邪魔しないようにね」


「わかってるよ…」


「ほんとに頼むぞ」


 そう言って、俺と菫姉は海に着くまで無言が続いた。


***


 目的地の海に着いた。

 海に着いたと言う事で、俺たちはやりたい事があった。


「みんなあれの準備はいいか?」


 大雅が皆んなに聞くと、俺たちは「いいぞー!」っと言った。


 そして4人で「せーの」っと言った時、菫姉は後ろで俺たちを眺めていた。


「「「「夏だ!海だ!」」」」


「「水着美女だー!」」「「砂浜埋めだー!」」


 うん?俺と大雅は水着美女って言葉を言った。

 かのんと楠山さんは砂浜埋め…?


「あの…砂浜埋めとは…?」


 俺は恐る恐る、2人に言葉の意味を聞くと


「そのままの意味だよ!かのんちゃんと話して大雅と奏風くんを埋めて遊びたいなって思って」


「それに奏風先輩、こんなに可愛い私がいながらそんなに他の女が見たいのですか?そんな奏風先輩には問答無用で砂浜埋め決定ですよ!」


「いやかのん、これには訳があって大雅にやろって言われて」


「あっ、ズル!!奏風だってノリノリだったじゃねーか」


「大雅も私と言う彼女がいながら他の女の水着が見たいんだね」


「いや…その…」


「後で、覚悟しときなさいよ!!」


 俺と大雅は2人に迫られて、萎縮してしまった。

 あー、後ろで菫姉が笑って見えるのがまた腹が立つ。


「とりあえず、罰ゲームの前に私たちの水着を見てもらいますからね!」


「奏風先輩、水着の感想によっては軽めの砂浜埋めにしてあげてもいいですよ」


「一生懸命頑張らせてもらいます」


「大雅の場合は上手い感想言っても私は手加減しないからね」


「そんな…」


 大雅には悪いが俺は何としても刑を軽くしてもらいたく頑張ることにした。


「じゃあ、みんな時間が勿体無いし着替えに行こうか」


 菫姉はそう言って、かのんと楠山さんを連れて女子更衣室の方へと向かっていった。


「大雅、俺たちも着替えに行こう」


「そうだな」


 俺が大雅に着替えに行こうと促し、移動することにしたが明らかに元気がなくなっていた。

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