他の男子には興味がない後輩は、俺にだけ甘えてくる

第3話 主導権は後輩に？

　カフェへと着いた俺たちはメニューを見ていた。

「奏風先輩！ペンギンの形をしたチョコが乗っているドリンクがあります！！」

「それを言うならこっちはカワウソの絵柄があるパンケーキだぞ！」

「先輩…それはお昼にはなりませんよ？」

「わかってるよ。でも、俺これをお昼にしてもいいかも」

「それじゃあ、私もペンチョコドリンのケーキセットを頼むのでお互いのケーキを少しだけ交換しましょう！」

「俺はそれでも構わないけど…ペンチョコドリン？」

「はい！ペンギンチョコがあるドリンクなのでペンチョコドリンです！！」

「なるほど。略し方可愛いな」

「奏風先輩、目が笑ってないですよー」

「とりあえず、注文しようか！」

　 話をはぐらかす為に店員さんを呼び料理を頼んだが、来るまでの待ち時間にかのんからの視線が怖かった…

「奏風先輩、私のケーキです！」

「そうだな。で、ケーキがどうした？」

「口を開けてください」

　何も疑問を持たずに俺は口を開けた途端、かのんが『あーん』って言いながらケーキを口に入れてきた。

「か、かのん！？いきなり何するんだよ！」

「えっ？普通に食べさせてあげただけですよ？」

「少しだけ分けてくれればよかったのに」

「そんな事より奏風先輩も私に『あーん』してください！」

「えっ！？分けるから自分で取ってくれないのか？」

「当たり前じゃないですか。美少女な私が食べさせてあげたんですよ、奏風先輩がお返しにやるのは必然です！！」

　そう言い、かのんはニヤリとしてきた。

「断る事は？」

「拒否権はありません。何故なら、私が先にやった事なので奏風先輩は強制です」

　諦めて『あーん』をしてあげた。かのんは満足そんな顔をしてパンケーキを食べていた。

　パンケーキとケーキを食べ終えた俺たちだが、まだ足りない気がしたのでサンドウィッチを頼んでこれもかのんと2人で分け合って完食した。

　カフェを出た俺たちはまだ見てなかった場所に行く為に、入り口付近へと戻りながら生き物たちを見ていた。

「奏風先輩、カニ！！タカアシガニ！！！」

「タカアシガニだな。好きなのか？」

「好きではないですね」

「それなら、タカアシガニの前で止まったのはどうして？」

「カニが美味しそうだなっと思い」

「えっ…ちょっと引いたぞ…」

　かのんの美味しそうだなって言った時、獲物を狩るような目をしてたから…

「奏風先輩、冗談ですよ〜冗談！」

「私のことを嫌いにならないでください…」

　そのうるうるした上目遣いで俺を惑わさないでくれー！！！

「嫌いにはならないけど…」

「けど？」

「……」

　返答に困っていたらかのんがいきなり———

「さて、気を取り直して…奏風先輩、あそこでカワウソのショーがやるみたいなので行きましょう！」

　ほんと気楽な後輩だなっと思った。

「カワウソのショーは見ないとだな！」

「ついでにペンギンのショーも続けて見ちゃいましょう！」

「そうだな」

　こうして俺たちはカワウソとペンギンのショーを見て満足したので、水族館のお土産コーナへと向かった。

「さて、奏風先輩。約束忘れてませんよね？」

「約束？あー、お揃いのキーホルダーだっけ？」

「そーです！一緒に選びましょう！」

「かのんが好きなのを選んできてもいいよ」

「ほんとですか！文句は言いませんか？」

「言える立場ではないですよ」

「それじゃあ、少し待っててください」

　そう言って、かのんは選びに行った。

　10分後、選んできた物を持ってかのんは俺の元へと戻ってきた。

「こちらのキーホルダーにしました！」

　俺は見せられたキーホルダーに唖然

「かのんこのキーホルダー、ハートになってるよな…？」

「これはですね、ペアキーホルダーと言いまして2頭のイルカを真ん中で分けて使うんです！」

「そして、こうして繋ぎ合わせるとハートに！私と先輩の相思相愛みたいに！」

「ストーップ！相思相愛はまだなってません！」

「えー！じゃあ、このキーホルダーダメですか？」

「まぁ、一応記念に買ってもいいぞ」

「奏風先輩…優しいですね」

「それじゃあ、買ってくるから待ってて」

「はい！」

＊＊＊

　買い物を終え、かのんと俺は水族館を出て駅に向かっていた。ゲームセンターが見えた途端にかのんからある提案をされた。

「奏風先輩、あそこにゲームセンターあるじゃないですか」

「あるな」

「プリクラを撮りましょうよ！」

「いいけど」

「先輩がノッてくるなんて珍しいですね」

「プリクラを撮ったことないから、内心ワクワクしているよ」

「そのワクワクが消える前に行きましょう！」

　俺はかのんに手を引っ張られ、プリクラコーナまで一直線に向かって行った。

「まず中に入ってください。そしたら、そこで少し待っていてください。私が設定を色々しちゃいますから」

「わ、わかった」

　かのんに言われるがまま、俺は中に入って慣れた手つきで操作する姿を見ながら待っていた。

「奏風先輩、設定終わりましたのでこのカメラに向かって色々なポーズを撮りましょう」

「何のポーズをするんだ？」

「猫耳ポーズと変顔とキメ顔と最後はピースにしますか」

「いいよ！」

　プリクラから開始の合図が鳴り、順番に猫耳・変顔・キメ顔と3枚があっという間に撮り終わった。

　4枚目になった瞬間にピースのはずが、かのんがいきなり頬にキスしてきた。

　俺は驚いて膝から崩れ落ちた。

「な、何するんだよ」

「何って今日1日のお礼ですよ」

「お礼がキスって…」

「奏風先輩は私のものですから！」

「つ…付き合ってないから俺は誰のものでもないから！！」

「はいはい、わかりました」

「でも、記念にこのプリは取っておいてくださいよ」

「はぁ、わかったよ」

　かのんは今日1番の笑顔をして「ありがとうございます」って言ってきた。

　そして駅へと向かいかのんを見送り、俺も自分の家へと帰宅した。