第一章
青薔薇のエリー
遠い昔のある王国にエリーという娘がおりました。エリーはれっきとした王女様でしたが、こっそりお城から抜け出して遊びに行くのが大好きでした。
エリーはお城の外でたくさんの友達を作りました。みんなとはとても仲が良く、エリーは毎日のように抜け出しては遊んでいました。
そんなある日、エリーは世界樹の使者に選ばれました。聖女様の力を手に入れたのです。ですが、エリーは誰にもそのことを言いませんでした。お城の中では誰も、エリーのことを愛してくれていなかったからです。エリーのことを愛していない人たちは、エリーの力を欲しがってエリーを苦しめるに決まっています。だから、エリーはお城に閉じこもって、前のように抜け出すことはなくなりました。使用人たちは喜びましたが、エリーはずっと泣いていました。お城の外にいるお友達に会いたくても、力がバレてしまうことが怖くて外へ出ることができませんでした。
だけど、エリーは力を使ってしまいました。病気になってしまったお母さんを治すためです。そのことはすぐ王様に知らされてしまいました。エリーは王様に、他国の王子様と結婚しろと言われてしまいました。エリーはまた夜通し泣きました。
王子様はとても残忍な人でした。エリーを傷つけて、ボロボロにしてしまったのです。エリーは悲しみに暮れました。王子様から離れたいと思いました。
そして、世界樹はそのエリーの願いを聞き入れたのです。エリーは王子様と会った日に言いました。
「私はもうあなたの婚約者ではありません」
エリーが立ち上がると、エリーたちのまわりはきれいな青い薔薇でおおわれました。その青い薔薇のツタは王子様の体をぐるぐる巻きにすると、王子様を絞め殺してしまいました。
青い薔薇は王子様の血を吸うと、いっそう青く美しくなりました。
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