14.お昼寝の後に②
「あ、そうだ……ねえ、リルフ、少しお昼寝しようか?」
「ピィ?」
「ほら、一緒に横になって」
少し困っていた私だったが、名案を思い付いた。この子には、少し眠ってもらおうと思ったのだ。
リルフが眠っている間に、私は厨房に行く。そして、起きる前までに戻ってくれば、この子に寂しい思いをさせることもない。
という訳で、私はベッドに寝転がって、リルフを誘う。私から離れたくないと思っているのか、リルフはすぐに私に近寄って来る。
「ピィ、ピィ」
「うん。あ、ここに頭を乗せて……あれ?」
「ピィ……」
そこで、私は選択を間違えたことを悟った。思わず、自分の腕にリルフの頭を乗せてしまったのだ。
これなら、くっついて眠れるし、いいと思った。しかし、私の今の目的は一緒に寝ることではない。この子だけ寝かせて、その内に厨房に行くことなのだ。
腕に頭が乗っているということは、私は身動きを取れないということだ。これでは、厨房に行くことなど、できるはずはない。
ただ、今から退いてもらうのも無理そうだ。私の腕枕でうっとりとしているこの子に離れろだなんていえるはずはない。
「……仕方ないか」
「ピィ?」
「なんでもないよ。一緒に、お昼寝しよう?」
「ピィ……」
結局、私は厨房にこっそり行くのを諦めることにした。このまま、この子と一緒に昼寝して、後のことは起きてから考えることにしたのだ。
多分、なんとでもなるだろう。別に、どうしてもリルフを厨房に連れて行けない訳でもないのだし、そこまで深刻な問題ではない。
深刻なのは、食事の問題の方だ。私が身構えるべきなのは、どちらかといえば、そちらだろう。
「リルフ……温かいね」
「ピィ……?」
「なんだか、安心できる……」
私は、リルフの体をゆっくりと撫でる。すべすべとしていて、温かい肌に、私は少し安心感を覚えていた。本来なら、私がこの子に安心感を与えてあげるべきなのに、おかしな話である。
「ふう……なんだか、結構眠くなってきたね」
「ピィ……」
私もリルフも、急激に眠気に襲われていた。
よく考えてみれば、リルフは生まれたばかりだ。そんなに体力がある訳ではないだろうし、睡眠が必要なのだろう。
私に関しても、朝から色々と衝撃的なことがあったので、疲れているのかもしれない。リルフとじゃれ合うのが楽しくてまったく意識していなかったが、眠たくなるのも仕方ないのだろう。
「それじゃあ、お休み、リルフ……」
「ピィ……」
私は、ゆっくりと目を瞑った。リルフも、きっと目を瞑っただろう。
こうして、私達は揃って眠りにつくのだった。
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